【NTT決算】2026年度第1四半期は過去最高の売上高!全事業が増収増益、AI・IOWNへの成長投資も加速

【NTT決算】2026年度第1四半期は過去最高の売上高!全事業が増収増益、AI・IOWNへの成長投資も加速 NTT

NTTが2026年8月6日 午後1時すぎに発表した2026年度第1四半期(2026年4~6月期)の連結決算は、営業収益が前年同期比10.9%増の3兆6,177億円、営業利益が同4.9%増の4,251億円となり、増収増益で着地しました。営業収益は第1四半期として過去最高を更新しています。

本業の収益力を示すEBITDAは同4.3%増の8,362億円、NTTに帰属する当期利益は同5.8%増の2,748億円でした。総合ICT、グローバル・ソリューション、地域通信、不動産・エネルギーなどの「その他」の全事業が営業収益、営業利益ともに前年同期を上回り、特定事業に偏らない増益となったことが今回の決算の特徴です。

一方、売上高の伸び率に比べると利益の伸びは緩やかで、設備投資も増加しました。投資家にとっては、順調な第1四半期として評価できる一方、今後は増収をどこまで利益率の改善やフリーキャッシュフローの拡大につなげられるかが焦点となります。

NTTの今年度スタートを飾る第1四半期。どのような内容になったのかを以下にて深堀していきましょう!!

売上高は10.9%増、利益もそろって前年同期を上回る

営業収益は前年同期から3,557億円増加し、3兆6,177億円となりました。これに対し、営業利益は200億円増の4,251億円、当期利益は151億円増の2,748億円でした。

営業収益の伸び率が10.9%だったのに対し、営業利益の伸び率は4.9%にとどまっています。公表数値から計算した営業利益率は約11.8%となり、前年同期の約12.4%から若干低下しました。EBITDAマージンも約23.1%と、前年同期の約24.6%を下回っています。

したがって、今回の決算は「売上高と利益額がともに増えた」という点では明確に前向きですが、収益性まで一段と向上した決算ではありません。事業規模の拡大や成長投資が売上高を押し上げる一方、それに伴う費用も増加している可能性があり、投資家は今後の四半期で利益率が回復するかを確認する必要があります。

ただし、EBITDAが348億円増え、当期利益も5.8%増となったことから、現時点で増収が利益に結び付いていないわけではありません。成長投資を続けながら絶対額としての利益を積み上げた点は、一定の評価材料になります。

総合ICT事業が最大の利益柱、全セグメントが増収増益

セグメント別では、総合ICT事業の営業収益が1兆6,170億円となり、前年同期から1,269億円増加しました。営業利益は2,462億円で、同65億円の増益です。総合ICT事業は連結営業利益の半分以上を稼ぐ最大の利益柱であり、この事業が増収増益を確保したことは連結業績の安定につながっています。

総合ICT事業では、通信サービスだけでなく、金融・決済、法人向けICT、スマートライフ領域などを組み合わせた成長戦略が進んでいます。NTTドコモ・フィナンシャルグループは7月に事業を開始し、銀行サービスのブランドとして「ドコモの銀行」を公表しました。通信契約を基盤として、決済、カード、銀行、証券などの金融サービスへ顧客接点を広げられるかが、中長期的な利益成長を左右しそうです。

グローバル・ソリューション事業は、営業収益が前年同期比1,746億円増の1兆2,789億円、営業利益が57億円増の635億円となりました。売上高の増加額では全セグメント中最大です。海外ITサービスやデータセンター、デジタルトランスフォーメーション需要を取り込んだことが、連結売上高の拡大を支えたとみられます。

NTTは、Microsoft Azure関連領域に強みを持つ米国WinWireを子会社化するなど、クラウドやAI関連の事業基盤を強化しています。こうした買収や成長投資が売上高を押し上げる一方、今後は買収先との統合効果や利益率の改善が問われます。グローバル・ソリューション事業は売上規模に対して営業利益率が相対的に低いため、収益性を高める余地も大きいと考えられます。

地域通信事業は営業収益が58億円増の7,636億円、営業利益が6億円増の985億円でした。増収増益ではあるものの、変化幅は比較的小さく、成熟した固定通信事業として安定収益を確保した格好です。「フレッツ 光クロス」のエリアカバー率が80%を突破するなど、高速通信への移行が進んでおり、今後は利用者単価の向上や法人・自治体向けサービスとの連携が重要になります。

不動産、エネルギーなどのその他事業は、営業収益が563億円増の4,424億円、営業利益が53億円増の234億円でした。規模こそ通信・IT事業より小さいものの、利益の増加額はグローバル・ソリューション事業に迫っています。事業ポートフォリオの多様化という観点では、着実な増益が確認できる結果です。

営業キャッシュフローは増加、フリーキャッシュフローはなおマイナス

ドコモSMTBネット銀行の連結影響を除いたキャッシュフローでは、営業キャッシュフローが前年同期比380億円増の5,643億円となりました。EBITDAの増加などが寄与し、本業による現金創出力は改善しています。

一方、投資キャッシュフローはマイナス6,450億円となり、前年同期のマイナス6,082億円から支出超過額が368億円拡大しました。資産取得による支出が前年同期の5,908億円から6,243億円へ増えたことが主因です。

この結果、営業キャッシュフローと投資キャッシュフローを合計したフリーキャッシュフローはマイナス807億円となりました。前年同期のマイナス819億円からは13億円改善したものの、引き続き投資支出が営業キャッシュフローを上回っています。

第1四半期は年度内の資金収支に季節性が表れやすいため、1四半期のマイナスだけで財務状態を判断するのは早計です。それでも、NTTは通信設備、データセンター、AI、IOWNなど複数領域で大規模投資を進めています。こうした投資が将来の利益を押し上げるまでには時間を要する可能性があり、今後は設備投資の増加とフリーキャッシュフローのバランスが重要になります。

なお、ドコモSMTBネット銀行を含むNTT連結全体では、営業キャッシュフローが5,745億円、投資キャッシュフローがマイナス6,734億円、財務キャッシュフローが5,571億円でした。第1四半期末の現金及び現金同等物は2兆3,874億円で、このうち1兆766億円がドコモSMTBネット銀行の連結分です。

金融事業の連結により、貸借対照表やキャッシュフローの見かけが従来と変わっている点には注意が必要です。銀行事業では預金などが負債、有価証券や貸出金などが資産として計上されるため、一般事業会社と同じ感覚で総資産や有利子負債の増減を評価することはできません。

設備投資は12%増、AI・データセンターなど成長領域へ資金配分

第1四半期の設備投資額は5,118億円となり、前年同期の4,565億円から553億円、率にして約12.1%増加しました。

内訳を見ると、総合ICT事業が1,970億円、グローバル・ソリューション事業が1,680億円、地域通信事業が966億円、その他事業が501億円でした。特にグローバル・ソリューション事業は前年同期の1,334億円から346億円増加しており、データセンターや海外IT基盤への投資が積極化していることがうかがえます。

総合ICT事業の設備投資も前年同期の1,849億円から1,970億円へ増えました。これに対し、地域通信事業は1,141億円から966億円へ減少しています。成熟した国内固定通信から、総合ICTや海外ソリューションなど成長分野へ投資配分を移す姿勢が表れているといえます。

2026年度通期の設備投資計画は2兆4,300億円で、前年度実績の2兆3,260億円を1,040億円上回ります。第1四半期時点の進捗率は約21.1%です。設備投資の増加は短期的にはキャッシュフローを圧迫しますが、データセンターやAIインフラの需要拡大を取り込めれば、中長期の成長につながる可能性があります。

投資家としては、投資額の大きさだけでなく、データセンターの稼働率、受注、AI関連売上高、投下資本利益率など、投資に対する収益化の進捗を確認したいところです。

IOWNと分散GPUをAI時代の成長エンジンに

NTTは今回、次世代通信基盤「IOWN」のグローバル展開を加速させる方針を示しました。チリ銅公社が運営する銅鉱山では、IOWNのオールフォトニクス・ネットワークを利用し、重機の遠隔オペレーションを高度化する実証を開始します。過酷な鉱山環境での作業を遠隔化できれば、安全性の向上や人手不足への対応につながります。

インドでは、光電融合デバイス「PEC-2」を使用したスイッチをデータセンターに導入し、消費電力を削減できるか調査します。生成AIの普及によってデータセンターの電力需要が世界的に増加するなか、通信・演算インフラの省電力化は大きな事業機会になっています。

また、NTTは2026年7月から、全国広域分散GPU実証環境「GPU over APN Testbed」の提供を開始しました。全国8拠点に配置したGPUをIOWN APNで接続し、低遅延かつ100Gbps級の通信を利用して、距離に左右されにくいGPU活用環境を提供します。

AI開発では高性能GPUの確保がボトルネックとなりやすく、各地に分散するGPUを一体的に利用できれば、設備の稼働率向上や利用者の導入コスト低減が期待できます。分散AI学習、分散推論、大容量データ転送などの実用事例を蓄積できるかが、NTTの掲げる「AIOWN」の事業価値を左右します。

現段階では実証や先行投資の色彩が強く、連結利益への寄与は限定的と考えられます。しかし、IOWNがデータセンター、AI、製造、金融、鉱山など幅広い産業で採用されれば、通信回線だけでなく、システム構築、運用、クラウド、データセンターを含む複合的な収益機会が生まれます。単なる研究開発テーマから商用サービスへ移行できるかが、中長期の株価評価に影響しそうです。

金融事業の拡大で貸借対照表は大型化

2026年度第1四半期末の総資産は47兆4,597億円となり、前年度末から7,384億円増加しました。負債は同6,080億円増の37兆1,117億円、資本は同1,305億円増の10兆3,480億円でした。

金融事業を再掲した資産は16兆9,779億円となり、前年度末から5,565億円増加しています。金融事業の負債も16兆7,294億円と、同5,507億円増加しました。貸借対照表の増加の多くは金融事業に関連するものです。

有利子負債は16兆2,546億円となり、前年度末の15兆7,116億円から5,430億円増加しました。ただし、そのうち金融事業分は1兆4,516億円で、前年度末の1兆6,579億円から減少しています。データセンター事業に関連する有利子負債は1兆8,602億円、その他は12兆9,428億円でした。

NTTは通信設備、データセンター、企業買収、金融事業、株主還元を同時に進めているため、資本配分は複雑になっています。低金利環境を前提に負債を活用して投資を拡大するだけでなく、金利上昇時にも財務負担をコントロールできるかが重要です。今後は、有利子負債の増減、支払利息、格付け、投資回収の進捗を継続的に確認する必要があります。

年間配当5.4円を計画、2,000億円の自社株買いも継続

株主還元では、2026年度の年間配当金を1株当たり5.4円とする計画を据え置きました。前年度の5.3円から0.1円の増配となり、会社資料では配当性向を44.6%と見込んでいます。

NTTは長期にわたって段階的な増配を続けており、安定配当を重視する個人投資家にとって、配当の継続性は重要な評価材料です。一方で、予想配当性向は過去と比べて高い水準にあるため、将来も継続的に増配するには、利益そのものの成長が欠かせません。
自社株買いについては、2026年5月に上限2,000億円の取得枠を決議しています。取得期間は2026年5月11日から2027年3月31日までで、7月末までの取得実績は331億円でした。取得枠に対する消化率は約16.6%にとどまっており、今後も最大で約1,669億円分の取得余地があります。

自社株買いは1株当たり利益や資本効率の改善に寄与する可能性があります。配当と自社株買いを合わせた総還元は株価の下支え要因となる一方、設備投資や買収に多額の資金を使うなかで、フリーキャッシュフローを上回る還元が常態化しないかには注意が必要です。

投資家の焦点は「利益率」と「成長投資の回収」

今回の第1四半期決算は、営業収益が過去最高を更新し、全セグメントが増収増益となった点で堅調な内容でした。国内通信に加え、グローバルIT、金融、不動産・エネルギーなど複数の事業が成長に寄与しており、NTTの事業ポートフォリオの厚みが示されています。

株主還元についても、増配計画と2,000億円の自社株買い枠が維持されており、投資家にとって安心材料です。営業キャッシュフローが増加したことも、本業の現金創出力という面ではプラスに評価できます。

ただし、営業収益の伸びに対して営業利益の伸びが小さく、利益率は前年同期を下回りました。設備投資は2桁増となり、フリーキャッシュフローも小幅ながらマイナスです。短期的には、売上高の拡大を利益率改善につなげられるかが最大の確認点となります。

中長期では、IOWN、分散GPU、AIエージェント、データセンター、金融サービスなどへの先行投資が、どの時点から具体的な利益貢献を始めるかが重要です。特にグローバル・ソリューション事業では、売上規模の拡大に加えて収益性を高められるか、総合ICT事業では金融サービスとの連携によって顧客単価と利用頻度を向上できるかが注目されます。

第1四半期時点では、NTTの業績は増収増益基調を維持しており、成長投資と株主還元を並行して進めています。今後の株価を一段と押し上げるには、過去最高売上高という規模の拡大に加え、利益率、フリーキャッシュフロー、投下資本効率の改善という「成長の質」を示すことが必要になりそうです。私自身、同社の株を2024年春にまとめて保有して以降、株主として動向を見守っております。

なお、本記事は、投資判断の参考情報として提供するものであり、特定の株式売買を推奨するものではありません。投資の最終ご判断はあくまで自己責任でお願いいたします。

STOCK EXPRESSの車掌、SHUN

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【Dear Overseas Investors: Summary in English】

NTT Posts Record First-Quarter Revenue as AI and IOWN Investment Accelerates

NTT reported solid results for the first quarter of fiscal 2026, with operating revenue rising 10.9% year on year to ¥3.62 trillion, a record for the period. Operating profit increased 4.9% to ¥425.1 billion, while net profit attributable to NTT rose 5.8% to ¥274.8 billion.

All major business segments delivered higher revenue and operating profit. The Integrated ICT business remained the largest earnings contributor, while the Global Solutions segment recorded the strongest revenue growth, supported by expanding demand for cloud, data centers and digital transformation services.

However, revenue grew faster than profit. The operating margin declined to approximately 11.8% from 12.4% a year earlier, making profitability a key issue for investors to monitor.

Operating cash flow excluding the impact of DOCOMO SMTB Net Bank increased to ¥564.3 billion. Free cash flow remained negative at ¥80.7 billion as investment spending continued to exceed internally generated cash.

Capital expenditure rose about 12% to ¥511.8 billion. NTT is directing more funds toward growth areas such as overseas IT services, data centers, artificial intelligence and its next-generation IOWN optical network. The company has also launched a nationwide testbed that connects distributed GPU resources through IOWN, aiming to develop commercial applications for AI computing.

Shareholder returns remain supportive. NTT plans an annual dividend of ¥5.4 per share and is conducting a share repurchase program of up to ¥200 billion through March 2027.

The results show that NTT is maintaining earnings growth while investing heavily in new businesses. For international investors, the main questions are whether AI, IOWN and data-center investments can generate adequate returns, and whether stronger revenue growth can translate into improved margins and free cash flow.

Disclaimer: This article is provided for informational purposes only and should not be construed as a recommendation to buy or sell any specific securities. Please make investment decisions at your own discretion.

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PROFILE

【STOCK EXPRESS(ストックエクスプレス)】(略称:STOCK.EX)株主視点の経済ニュース考察を発信してまいります!
語り手は、SHUN
渋谷桜丘 在住。立教大学法学部卒業。株主として様々な企業を応援し、経済活性化に努めております。報道カメラマンとして写真撮影もしており、数々の著名人を撮影。2000年代にはライブドアニュースにて経済記事執筆。(保有資格:知的財産管理技能士、化粧品検定1級、食生活アドバイザー、景表法検定など)

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