【日産自動車決算】4~6月期は8四半期ぶり最終黒字、営業利益779億円へ急回復!「Re:Nissan」で600億円削減、米国販売も好調

【日産自動車決算】4~6月期は8四半期ぶり最終黒字、営業利益779億円へ急回復!「Re:Nissan」で600億円削減、米国販売も好調 自動車株

大手自動車メーカー、日産自動車株式会社(7201)は8月3日大引け後(17:25)、「2027年3月期第1四半期(2026年4~6月)の連結決算」を発表しました。売上高は前年同期比9.5%増の2兆9,642億円、営業損益は779億円の黒字となり、前年同期の791億円の赤字から1,570億円改善しました。

経常損益も491億円の黒字と、前年同期の1,092億円の赤字から大幅に回復。親会社株主に帰属する四半期純利益は38億円となり、前年同期の1,158億円の赤字から黒字へ転換しました。最終損益が黒字となるのは8四半期ぶりです。

純利益は市場予想である36億円程度の赤字を上回っており、業績再建に向けた構造改革「Re:Nissan」の効果が、想定より早く表れ始めた決算といえます。

3月末が決算月の日産自動車。2027年3月期の始まりを飾る第1四半期(2026年4~6月)は、どのようなスタートをきったのでしょうか?本日の発表内容について、以下にて詳しく見ていきましょう!!

営業損益は1,570億円改善、利益率もマイナス2.9%からプラス2.6%へ

今回の決算で特に目を引くのは、営業損益の急回復です。前年同期は791億円の営業赤字でしたが、今期は779億円の黒字を確保しました。売上高営業利益率も前年同期のマイナス2.9%からプラス2.6%へ、5.5ポイント改善しています。

営業利益の改善には、円安による為替効果、生産・車両コストの改善、販売パフォーマンスの回復、販売費や研究開発費を含む規律ある費用管理などが寄与しました。2026年4~6月期の平均為替レートは1ドル=160円、1ユーロ=185円で、前年同期の1ドル=145円、1ユーロ=164円から大幅な円安となっています。

北米部門の営業利益が前年同期の542億円の赤字から960億円の黒字へ改善したことも、全社業績の回復をけん引しました。日本部門も33億円の赤字から176億円の黒字に転換しています。

一方、欧州部門は261億円の営業赤字となり、前年同期の235億円の赤字から損失が拡大しました。アジア部門の営業利益も前年同期比35.3%減の55億円にとどまっており、地域によって収益改善の進捗には差があります。

なお、第1四半期の営業利益には、2025年度の米国関税に関連する一時的な利益も含まれています。そのため、今回の黒字転換がすべて恒常的な収益力の改善によるものではない点には注意が必要です。

「Re:Nissan」で600億円を削減、構造改革が利益回復に直結

日産は経営再建計画「Re:Nissan」に基づき、生産、調達、研究開発、販売管理など幅広い領域でコスト構造の見直しを進めています。第1四半期には主に変動費の削減により、約600億円のコスト改善を実現しました。

前期に実施した構造改革や人員削減の効果に加え、車両コストや生産費用、物流費、研究開発費などの抑制も収益改善につながっています。第1四半期の研究開発費は1,202億円となり、前年同期の1,403億円から約200億円減少しました。

イヴァン・エスピノーサ社長兼CEOは、米国や日本などの主要市場で販売が伸びたことについて「進歩の兆しがみられる」と評価しました。そのうえで、商品競争力の強化、コスト構造の改善、意思決定の迅速化を進め、収益性とフリーキャッシュフローの改善を目指す方針を示しています。

ただし、コスト削減だけで中長期的な成長を実現できるわけではありません。研究開発費を抑えながら、電動車やハイブリッド車、新エネルギー車などの商品競争力を維持できるかが、今後の重要な評価材料になります。

世界販売は0.9%減も、米国・日本・中国で回復の兆し

第1四半期のグローバル小売販売台数は前年同期比0.9%減の70万1,000台でした。世界全体ではわずかに減少したものの、日産が主要市場と位置づける米国、日本、中国では販売が前年同期を上回り、これまで続いていた販売減少に底打ちの兆しがみられます。

北米販売は4.2%増の32万8,000台となり、このうち米国は9.6%増の24万3,000台でした。米国では「Built in the U.S. for the U.S.」戦略を進めており、小売販売は16カ月連続で前年実績を上回っています。

車種別では「パスファインダー」が32%増、「フロンティア」が35%増、「ローグ」が39%増となるなど、主要モデルの販売が拡大しました。北米の売上高は前年同期比22.5%増の1兆9,278億円に達しており、販売増加と円安効果が業績を押し上げました。

日本の小売販売は1.3%増の8万8,000台でした。新型「キックス」の累計受注台数は1万1,000台超、新型「エルグランド」は8,000台に達しており、新商品の投入効果が表れています。

中国の小売販売も7.2%増の13万台となりました。日産は在庫管理を徹底するとともに、「N7」「N6」「NX8」「フロンティア プロ」を中心とした新エネルギー車戦略や、中国からの輸出を強化する方針です。

一方、欧州販売は14.6%減、その他地域は17.4%減となりました。世界販売の本格的な回復には、北米だけでなく、欧州や中東を含めた複数地域で販売を立て直す必要があります。

自動車事業は赤字が大幅縮小、しかし現金流出は続く

連結営業損益が大きく改善した一方、本業の自動車事業はなお完全な黒字化には至っていません。自動車事業の営業損益は83億円の赤字でした。ただ、前年同期の1,577億円の赤字からは大幅に損失が縮小しており、関税影響を含めても損益均衡に近い水準まで回復しました。

投資家として注意したいのは、キャッシュフローの状況です。自動車事業のフリーキャッシュフローは3,239億円の赤字となりました。前年同期の3,905億円の赤字から改善したものの、多額の現金流出が続いています。

自動車事業のネットキャッシュは2026年3月末から2,012億円減少し、6月末時点で9,692億円となりました。手元資金は2兆1,244億円、未使用のコミットメントラインは2兆1,528億円を確保しており、直ちに資金繰りが問題となる状況ではありません。ただし、フリーキャッシュフローの赤字が長引けば、再建投資や新型車開発に使える資金が減少する可能性があります。

ジョージ・レオンディスCFOは、2027年3月期に関税影響を除いた自動車事業の営業損益とフリーキャッシュフローを黒字化する目標について「達成は可能だ」と強調しました。原価低減策の効果が下期から本格化するほか、資産売却も検討し、キャッシュフローを支える考えです。

通期業績予想は据え置き、純利益200億円の黒字を計画

日産は2027年3月期の通期業績予想を据え置きました。売上高は前期比8.3%増の13兆円、営業利益は2,000億円、親会社株主に帰属する当期純利益は200億円を見込んでいます。前期は5,331億円の最終赤字だったため、計画どおりなら大幅な業績回復となります。

第1四半期の営業利益779億円は通期計画2,000億円に対して約39%の進捗となりました。一方、純利益38億円の進捗率は約19%にとどまります。営業利益段階では順調なスタートといえるものの、営業外損益や特別損益、税負担などを含めた最終利益の達成には、下期に向けた一段の改善が必要です。

通期の想定為替レートは1ドル=150円、1ユーロ=175円で、第1四半期実績より円高を見込んでいます。今後、円高が進めば為替による増益効果が縮小する可能性があります。

また、原材料価格の上昇や中東情勢を背景とした物流・サプライチェーンの混乱も懸念材料です。一方で、円安環境、第1四半期に計上した一時的な利益、追加のコスト削減などを織り込み、会社側は現時点でリスクとプラス要因が均衡していると判断しています。

なお、年間配当予想は引き続き0円としており、業績回復が直ちに復配につながる段階ではありません。

中国の販売悪化を受け、世界販売計画は315万台へ下方修正

財務見通しを維持した一方、日産は2026年度のグローバル販売台数見通しを従来の330万台から315万台へ、15万台引き下げました。中国市場の競争激化と事業環境の悪化を反映したものです。

中国の年間販売計画は58万台で、前年度実績の65万3,000台を下回る見通しです。一方、中国を除く地域では前年を上回る販売を計画しており、北米では132万台、日本では43万台、欧州では34万台を見込んでいます。

今後は北米市場におけるハイブリッド車の投入などを通じて販売を伸ばし、中国市場の落ち込みを補う方針です。ただ、販売台数を下方修正しながら利益計画を維持するためには、値引き販売を抑えた収益性重視の販売、車種構成の改善、さらなるコスト削減が不可欠となります。

投資家の焦点は「黒字の持続性」とフリーキャッシュフロー

今回の決算は、日産の再建が最悪期を脱しつつあることを示す内容でした。営業損益は1,570億円改善し、最終損益も市場予想を上回って8四半期ぶりの黒字となりました。米国販売の伸びや600億円のコスト削減も、Re:Nissanが一定の成果を上げていることを示しています。

一方、営業利益には円安や米国関税に関連する一時的な利益が含まれており、自動車事業はなお83億円の赤字です。さらに、自動車事業のフリーキャッシュフローは3,239億円の赤字で、ネットキャッシュも3カ月間で2,000億円以上減少しました。

株式市場では、単に黒字転換したという事実だけでなく、為替や一時要因を除いても利益を確保できるか、販売台数を引き下げたなかで通期営業利益2,000億円を達成できるかが焦点になります。

第1四半期は再建に向けた「進歩の兆し」を確認できる決算でしたが、本格的な業績回復を評価するには、自動車事業の恒常的な黒字化とフリーキャッシュフローの改善を、今後の四半期決算で確認する必要がありそうです。

なお、本記事は、投資判断の参考情報として提供するものであり、特定の株式売買を推奨するものではありません。投資の最終ご判断はあくまで自己責任でお願いいたします。

STOCK EXPRESSの車掌、SHUN

STOCK EXPRESS車掌 SHUN

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【Dear Overseas Investors: Summary in English】

Nissan Returns to Quarterly Profit After Eight Quarters as Restructuring Gains Traction

Nissan Motor reported a net profit of ¥3.8 billion for the April–June quarter, marking its first quarterly profit in eight quarters and beating the market consensus for a ¥3.6 billion loss.

Revenue rose 9.5% year on year to ¥2.96 trillion, while operating profit improved by ¥157 billion to ¥77.9 billion. The operating margin recovered to 2.6% from negative 2.9%. Nissan attributed the turnaround to favorable exchange rates, stronger sales, disciplined spending and ¥60 billion in cost reductions under its “Re:Nissan” restructuring plan.

Global retail sales slipped 0.9% to 701,000 vehicles, although U.S. sales increased 9.6% and China sales rose 7.2%. Nissan maintained its full-year forecasts of ¥13 trillion in revenue, ¥200 billion in operating profit and ¥20 billion in net profit. However, it cut its global sales outlook from 3.3 million to 3.15 million vehicles due mainly to challenging conditions in China.

Despite the earnings recovery, Nissan’s automotive business remained in the red, while automotive free cash flow was negative ¥323.9 billion. Investors will focus on whether the company can achieve sustainable profitability and positive free cash flow without relying on currency gains or one-off benefits.

Disclaimer: This article is provided for informational purposes only and should not be construed as a recommendation to buy or sell any specific securities. Please make investment decisions at your own discretion.

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渋谷桜丘 在住。立教大学法学部卒業。株主として様々な企業を応援し、経済活性化に努めております。報道カメラマンとして写真撮影もしており、数々の著名人を撮影。2000年代にはライブドアニュースにて経済記事執筆。(保有資格:知的財産管理技能士、化粧品検定1級、食生活アドバイザー、景表法検定など)

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