最近、心配な報道が多い大手自動車メーカー・日産自動車株式会社(NISSAN)。本日も新たな報道がありました。ソース元は、Financial Timesの報道。日本のSNSで広まったのは「日産の2人の経営者が、日産はあと12〜14ヶ月しか生き残れないと発言した。」というもの。確かに業績悪化している状況下ではあるものの、そんなに危機が迫っているのでしょうか?気になったので、原文を読んでみました。
まず、このFinancial Timesのインタビューに応えているのは誰か?
匿名の方で、「senior official close to Nissan」と書かれています。”日産関係者”というレベルで、経営層の発言なのかどうかまでは不明ですね。
発言内容を見てみますと、「“We have 12 or 14 months to survive,” 」と書かれており、確かに「我々は、あと12〜14ヶ月しか生き残れない」という意味合いです。
さらに、”どんな文脈で書かれているのか”を読み込んでいきましょう。
タイトルの「Nissan seeks anchor investor to help it through make-or-break 12 months.」は、「日産は12か月以内に大口投資家を見つけなければマズイ」的な意味合いでしょう。
文中には「Nissan is searching for an anchor investor to help it survive a make-or-break year as longtime partner Renault sells down its holding in the crisis-hit Japanese carmaker.」と書かれています。「日産は、長年のパートナーであるルノーが持ち株を売却したため、危機的状況にあり、この1年を乗り切るための大口投資家を探している。」的な意味合いです。
つまり、「ルノーに代わる大口投資家を見つけないと、経営面でマズイ」ということが言いたいのでしょうね。
さらに、ホンダ(本田技研工業)の名前も出てきます。
「Nissan has not ruled out having Honda buy some of its shares」。「ホンダに自社株の一部を買い取ってもらう可能性を排除していない」、つまり、ホンダへの売却も視野に入れているということでしょう。
日産の買収をめぐっては、最近いろいろなウワサが流れており、ホンダ社の名前もよく目にしますよね。ほかにも、三菱商事への売却とか、旧村上ファンドが買い進めているとか、様々な情報があり、実に慌ただしい状況です。
結論として、このFinancial Timesの報道の趣旨は、日産の倒産を示唆しているものではなく、日産が再建のために大株主を探して模索している、というもののようです。
まあ、いずれにしても、9,000人のリストラ発表からも明らかなように危機的状況であることには変わりないですが。EV(電気自動車)へのシフトを真に受けて、EV事業に振り切った結果、企業が傾いてしまう…という事例になっていますよね。
時代の変化を読むのは実に大変なことです。日々、株主として売買していても難しい局面の連続ですし(汗。
日産は、私が子供時代を過ごした昭和時代には人気メーカーで、今でも根強いファンが多いです。スカイライン、サニーなどの人気車種の数々。ドラマ「西部警察」で、渡哲也さんや石原裕次郎さんが華麗に乗りこなしていた姿は今も鮮明に覚えています。なんとか良い大口株主が登場してくれると良いのですが… 今後の展開をウォッチしていきたいと思います。
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