日本の大手自動車メーカー・日産自動車株式会社(NISSAN)の株価が本日11月12日(火)、急騰し、株クラ界隈をザワつかせました。日産といえば、先週11月7日(木)に発表した決算発表の内容があまりにマイナスだったため、直近では株価が急落していました。日産株の大量買いで話題になっていた造船太郎氏も全株売却し、逃亡。メタプラネット太郎と改名してしまった程です…w 昨日11月11日(月)の終値は、368.6円。まさに”総悲観”の状態で本日の前場を迎えました。
ところが、本日の日産の株価は右肩上がりに上昇し、後場が開いた直後もグングン上昇。14時6分には、444.6円の高値をつけました。昨日の終値よりもプラス76円(+21%)。造船太郎氏が逃げ出した時の価格が409.9円でしたから、これよりも30円以上高い株価に。
もっとも賢い投資家は、今日の前場開始当初に買って、14時すぎに売った人かも。労力対効果がめちゃくちゃ高いですよね。
この日産株価の急騰の理由は何なのでしょうか?
1つ考えられるのが、ある株主の存在。日産が昨日11月11日に提出した報告書(2024年4〜9月期半期)で、大株主名簿に「エフィッシモ・キャピタル・マネージメント」と思われる名前が入っていたのです。”思われる名前”とは「サンテラ(ケイマン)トラスティECM・MF」。この「ECM」の名が入っているものは、エフィッシモ社がよく使ってきた名前です。エフィッシモ社の保有株割合は全体の2.5%。第5番目の大株主に浮上しました。「このエフィッシモ社が、なぜ注目されているのか」というと、アクティビスト(物言う株主)だからです。しかも、”物言う株主”という存在を日本で知らしめるきっかけになった、旧村上ファンド出身者(幹部の高坂卓志氏・今井陽一郎氏、佐藤久彰氏の3名)が設立した投資ファンドなのです。日本株を1兆円以上運用していると言われており、”国内最強アクティビスト”と見られている程。2021年には あの東芝の筆頭株主として株主提案を可決させたことは衝撃でした。エフィッシモ社の手法は、コーポレート・ガバナンスで問題のある企業が割安になっている際に買い占めを進め、その企業への鋭い批判をし、企業が自己株買い等をして株価が高値になったタイミングで利確するというもの。まさに、典型的な村上ファンド手法ですね。
この”物言う株主”が経営に口出しするようになるわけですから、日産の株価上昇の可能性も出てきたと言って良いかもしれません。そして、この上昇可能性をかぎつけた投資家が本日から群がり始めたのでしょう。
ご参考までに、【日産の大株主上位企業】(2024年9月末時点)
仏ルノー:16.19%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口):8.55%
JPモルガン(ルクセンブルグ):3.23%
サンテラ(ケイマン)トラスティECM・MF:2.50%
日本カストディ銀行(信託口):1.58%
ステート・ストリート・バンク・ウエスト・トリーティ:1.17%
日本生命保険:0.97%
モクスレイ&Co.:0.94%
野村信託銀行(投信口):0.63%
自社(自己株口):0.48%
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エフィッシモ社の9月末時点での保有株は2.5%ですが、さらに株価が下がってお買い得状態になった10月などには もっと買い増ししている可能性もあり、現状はもっと保有割合は高いかもしれません。
ちなみに、エフィッシモ社は、日産グループの一員である日産車体株式会社の株式をすでに約30%保有しています。日産車体は、開発から生産までを手がける車両の組立会社で、日産が50%の株式を保有する企業。仮に日産本体の状態が悪化しても、日産車体の価値は高いので、ここを狙っている可能性もありますよね。日産本体の保有株を増やして発言権を得て、日産車体についての影響力も強めるのでしょうか?親子上場を問題視した発言をしようとしているのかもしれません。動向を見守っていきたいと思います。
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なお、その後、日産の株価は落ち着いてきており、410円台に。それでも、昨日までの暴落ぶりから考えれば、高いですよね。
私も「株の世界は実に奥が深いな」と実感させられました。
今後、エフィッシモ社がどのあたりで前面に出てきて経営陣に物を言い始めるのか。果たしてどのように日産を立て直し、株価を上げていくのか。
日産と連携関係にあるホンダや三菱商事等の企業からの出資を増やさせようという展開も想定されます。場合によっては、ホンダや三菱商事による日産買収という展開もないとは言えない状況に…
注目していきたいと思います。
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