日産自動車、PBR0.2倍に!復活に必要なこととは…

日産自動車、PBR0.2倍に!復活に必要なこととは 自動車株

日本を代表する自動車メーカー「日産自動車株式会社(NISSAN)」。私が子供時代を過ごした昭和時代には、スカイラインやサニーなどの人気車種を生み出す人気メーカーでした。ドラマ「西部警察」で、渡哲也さんや石原裕次郎さんが華麗に乗りこなしていた姿に憧れた方も多かったと思いますし、日産のブランドイメージを押し上げていました。

しかし、最近では、業績不振のニュースも多く、株価が低迷しています。10月11日(金)の取引が終了した時点で、1株396.3円。株価下落のきっかけとなったのは、7月に発表された日産2025年3月期第1四半期決算。営業利益 前年同期比99%減の10億円であることが発表されると、今年600円程あった株価は、400円程へと。その後、9月18日には、造船太郎氏が株を大量保有して話題になり、今後の伸びが期待されましたが、その後も低空飛行気味。私自身も一時保有しておりましたが、政権交代で先が読みにくくなった段階で、420円で売却し、現在は様子見しているところです。

10月9日には、日産自動車の時価総額が1兆4674億円で取引を終え、日系メーカーで6位に転落。いすゞ自動車に抜かれてしまうという事態に。これはちょっとショッキングでした。そして、PBR(株価純資産倍率)は、ついに0.2倍に。東証プライム上場の事業会社で最下位となってしまったのです。東京証券取引所が、PBR1倍割れを問題視し、PBR1以上倍以上に改善していこうという方針を掲げる中、0.2倍はあまりに低いですよね。

0.2倍…この辺が”底”で、今後上昇していく期待を持って良いのでしょうか?
再び株主となって応援するタイミングなのでしょうか?
以下にて考察してみます。

円安方向に読みすぎた「想定為替レート」だが戻りつつある

日産といえば、想定為替レートを円安方向(155円)に考えていたことが、少し前に話題となりました。為替(ドル円)は、今年の夏までは「円安方向に一直線」といった状況で進んでおり、160円を超えていた時期もありますから、その頃の感覚で想定したのかもしれません。しかしその後、日銀の利上げ方針、米国の利下げ方針の発表があいまって、日米金利差が縮小。真夏を頂点として、円高方向へ転じました。一時は1ドル140円を割りそうな勢いで、日産の想定の真逆へと。石破総理誕生でも拍車がかかりましたよね。しかし、その後、石破総理の「利上げを急がない」発言もあり、円安へと戻り始め、本日現在では、149円程に。日産の想定為替レート(155円)へと近づき、「日産の想定も、あながち間違っていないのでは?」という段階まで戻ってきました。なので、一時期心配されていたほどには、マイナス要因ではなくなってきているのではないでしょうか?

ただ、いずれにしても、来年は日米金利差も縮小していく傾向で動くでしょうし、ドル円も今よりは円高方向に動く可能性が高いと思われます。日産の想定為替レートも修正は必要でしょう。

ご参考までに、自動車系輸出系各社の想定為替レート一覧を下記にて掲載。

日産自動車  155円
豊田自動織機 148円
トヨタ自動車 145円
デンソー   145円
アイシン   145円
ニデック   145円
スズキ    145円
マツダ    143円
三菱自動車  142円
SUBARU 142円
ホンダ    140円
ヤマハ発動機 140円
アドバネクス 140円


日産の円安想定が際立ってはおりますねw

CPA悪化で感じるヒット車の必要性

さて、7月に発表された日産2025年3月期第1四半期決算で、営業利益が前年同期比99%減の10億円となった点について。
内訳を見てみると、販売費用(広告宣伝費と販売諸費)は増加しており、積極的に販売していこうという意気込みがあったことがわかります。前年よりも明らかに増加。私もTVを見ていると、「やっちゃえ日産」等の日産の印象的なCMをたくさん見かけたことでも実感しておりました。
一方で、売上は増えたものの微増にとどまっていることもわかります。これにより「商品を1つ売るのにどれだけ広告費をかけたか」を見る指標「CPA(コンバージョン単価)」が高まっている傾向があります。

今まで強かった北米での売上は下がっており、第一四半期の営業利益は、前期の1,320億円から209億円の赤字に下落。大量生産された過剰在庫もある傾向もあり、後手に回っているかもしれません。

また、中国での販売が際立って減少しており、2018年の中国向けの台数は年間156万台だったものが、2024年の見通しは77万台と半減。
競合他社のスズキ自動車はインドや新興国に積極的に進出しておりますが、日産はそうでもない状況です。

自動車産業自体の将来性が暗いわけではなく、トヨタ自動車は売上も営業利益も向上しており、営業利益は17%もアップしています。

なので、日産に必要なのは、自社の自動車の人気を上げることでしょう。CPAが悪化しているということは、日産の自動車自体の魅力を上げる必要があるということでもあり、やはり、ユーザーが求める自動車を作ることが求められますよね。人気の高い良い自動車を作れれば、業績回復できる余地は多分にあると思います。

ルノーとの関係が対等に改善

一方、日産にとって今後プラスに働いてくると思われるトピックスもあります。「フランスのルノーとの資本対等化」です。今まではルノーが日産株の40%を保有していましたが、昨年11月に出資比率を15%ずつに変更。これにより対等な関係に。これに伴い、ルノーから信託会社に移された株式について、発行済みの5%分を798億円程で買い取ることが先日発表されました。

日産側が意見を主張できる状態になったことが必ずしても良い方向に繋がるとは限らないものの、今までよりも経営に自由度や一貫性が生まれる可能性は高まっていくと思われます。これが、今後の日産の業績向上に繋がるかもしれません。たとえば、日本向けのイイ自動車を作れるようになる可能性も。「日産復活の兆し」として注目しておきたい要素です。

EVへの過度なシフトは懸念も

ただ、1点懸念材料も。この「ルノーとの資本対等化」を締結するにあたり、日産はルノーのEV(電気自動車)会社への出資を約束しています。さらに、日産はホンダ・三菱と提携してEVの推進を志向しています。EVは一見 ガソリン車の次のメジャーな車種になると思われがちですが、過度な期待をして良いかどうかは、まだ不明な点もあります。たとえば、スウェーデンのボルボは、2030年までに販売車をすべてEVにする計画を一旦白紙に戻しています。ドイツのフォルクスワーゲンも工場閉鎖を検討しています。中国ではEVが大量に生産されたものの、想定よりは売れずに在庫が廃棄されていることも話題になっています。EVは将来性のある楽しみな自動車である一方、EVだけに過度な期待を持ちすぎることは懸念点もあると思うのです。日産が今まで得意としてきた北米市場でもEV需要が減速しハイブリッド車が広がっていますが、日産はハイブリッド車のラインナップを持っていない状況。こうしたところは改善が必要な点かもしれません。

今後、日産がどうなっていくのか。日本を代表する自動車メーカーであり、今後の動きに注目していきたいと思います。また、続報もお届けしますね!

それでは、また♪

SHUN

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PROFILE

【STOCK EXPRESS(ストックエクスプレス)】(略称:STOCK.EX)株主視点の経済ニュース考察を発信してまいります!
語り手は、SHUN
渋谷桜丘 在住。立教大学法学部卒業。株主として様々な企業を応援し、経済活性化に努めております。報道カメラマンとして写真撮影もしており、数々の著名人を撮影。2000年代にはライブドアニュースにて経済記事執筆。(保有資格:知的財産管理技能士、化粧品検定1級、食生活アドバイザー、景表法検定など)

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