電子部品メーカー、株式会社村田製作所<6981>が7月31日 14:00(後場)、第一四半期の決算発表を行い、「2027年3月期の連結業績予想(国際会計基準)」を上方修正しました。親会社の所有者に帰属する当期利益は、従来予想の2930億円から3380億円へ450億円引き上げ、前期比44.5%増となる見通しです。
従来予想では25.3%増を見込んでいましたが、人工知能(AI)サーバー向けを中心としたデータセンター関連部品の需要が想定以上に拡大していることから、増益率が大幅に高まりました。実現すれば5期ぶりに過去最高益を更新します。
修正後の純利益予想は、直近の市場予想平均であるQUICKコンセンサスの3341億円を上回りました。好決算への期待に加え、前日の米国市場でハイテク株が上昇したことも追い風となり、決算発表当日の村田製作所株は、ストップ高水準となる前日比1000円高の7416円で比例配分となりました。最近は下落傾向があった株価ですが、急速に上昇に転じる展開となっています。私自身、同社の株を保有しており、注目していた本日の発表。村田製作所の決算発表内容について、以下にて深堀りしていきましょう!!
売上高・営業利益も過去最高へ、営業利益率は20%台に上昇
通期の売上収益予想は、従来の1兆9600億円から2兆1100億円へ1500億円上方修正されました。前期比では15.2%増となり、初めて2兆円を超えて過去最高を更新する見通しです。
営業利益予想も3800億円から4300億円へ500億円引き上げ、前期比52.6%増を見込みます。税引前利益は3900億円から4510億円へ上方修正され、前期比46.1%増となる計画です。
売上収益に対する営業利益率は、従来予想の19.4%から20.4%へ上昇します。利益率20%の大台に乗せる見通しとなり、単なる売上拡大だけではなく、増産による操業度改善などを通じて収益性も大きく高まっていることが示されました。
また、税引後ROIC(投下資本利益率)の予想は12.3%から13.9%へ引き上げられました。年間配当については、前期から5円増配となる1株70円の予想を据え置いています。
第1四半期純利益は64%増、コンセンサスを大幅に上回る
同時に発表した2027年3月期第1四半期(2026年4~6月期)の連結決算は、売上収益が前年同期比20.7%増の5022億6400万円、営業利益が59.8%増の984億5400万円、税引前利益が75.3%増の1092億3300万円、純利益が63.7%増の813億7700万円となりました。
税引前利益は、直近のIFISコンセンサスである926億8000万円を17.9%上回りました。純利益も前年同期の497億1400万円から大幅に増加しており、期初から好調なスタートを切った格好です。
第1四半期の売上営業利益率は、前年同期の14.8%から19.6%へ4.8ポイント上昇しました。固定費の増加や製品価格の下落という利益圧迫要因があったものの、販売数量の増加に伴う生産設備の稼働率上昇や円安効果がそれらを吸収しました。
為替面では、対米ドルの平均為替レートが前年同期の1ドル=144円60銭から159円49銭へ円安方向に動きました。会社側は第2四半期以降の想定為替レートも、従来の1ドル=150円から155円へ変更しています。今回の上方修正には旺盛な実需だけでなく、為替前提の変更も寄与しています。
AIサーバー向けMLCCが成長の中心、データセンター売上高は2倍へ
業績拡大の最大のけん引役となっているのが、AIサーバー向けの積層セラミックコンデンサー(MLCC)です。
MLCCは電子回路内で電圧を安定させたり、不要なノイズを除去したりするために使われる基幹部品です。AIサーバーは、高性能なGPUや大容量メモリーを多数搭載するため、一般的なサーバー以上に安定した電力供給が求められます。
AIサーバー1台に搭載されるMLCCは、約1万5000~2万5000個に達するとされます。生成AIサービスの拡大を受け、世界各地で大規模データセンターの建設が相次いでいることから、村田製作所のMLCC需要も急速に高まっています。
会社側は、2027年3月期のデータセンター関連売上高が前期比約2倍の3706億円に拡大すると見込んでいます。スマートフォン中心とみられてきた同社の成長構造が、AIデータセンターを新たな柱とする形へ変わり始めています。
コンデンサー売上高は30%増、受注高は86%増加
第1四半期のコンデンサー事業の売上収益は、前年同期比30.0%増の2825億800万円となりました。コンデンサーだけで全社売上収益の56.2%を占めており、同社の業績を支える中核事業として存在感を一段と高めています。
さらに注目されるのが受注の伸びです。第1四半期のコンデンサー受注高は前年同期比85.5%増の4155億500万円に拡大しました。6月末時点の受注残高も、前期末比49.4%増の4021億5500万円に達しています。
インダクタ・EMIフィルターを含むコンポーネント全体では、売上収益が28.5%増の3467億6200万円、受注高が76.9%増の4898億1900万円となりました。受注高が売上高を大きく上回っていることから、少なくとも数字の上では、第2四半期以降も高水準の出荷が続く可能性があります。
ただし、中島規巨社長は決算説明会で、データセンター向け部品の需要が期初想定以上に強まっている一方、足元の受注については「少し過熱気味」との認識を示しました。実際の最終需要を上回る重複発注や在庫積み増しが含まれていないか、慎重に見極める必要があります。
コンピューター用途が47%増、車載・スマホ向けも伸長
用途別では、データセンターを含むコンピューター向け売上収益が前年同期比47.0%増の1028億7100万円となり、最も高い成長率を記録しました。
AIサーバー向けMLCCに加え、電源モジュールやリチウムイオン二次電池の販売も増加しています。コンピューター用途の全社売上高に占める構成比は、前年同期の16.8%から20.5%へ上昇しました。
モビリティ向けも16.1%増の1315億5400万円と堅調でした。自動車の電動化や先進運転支援システム(ADAS)の普及を背景に、コンデンサー、EMI除去フィルター、センサーなどが増加しました。
通信向けは13.7%増の1564億1500万円でした。スマートフォン向け高周波モジュールは減少したものの、MLCCや樹脂多層基板の増加が補いました。
一方、家電向けは6.7%減の343億3500万円となりました。AV機器向けMLCCは増加しましたが、パワーツール向けリチウムイオン二次電池が減少しています。AI、車載、スマートフォンという複数分野の伸びが、家電向けの弱さを補う構図となっています。
増産投資を拡大、MLCCに追加800億円
旺盛な需要に対応するため、村田製作所は2027年3月期の設備投資計画を従来の2500億円から2550億円へ引き上げました。主な投資先は、データセンター向け電源モジュールの生産設備です。
MLCCについても、2028年3月期までの2年間で追加800億円を投じる計画です。AIサーバーや自動車向けを中心とする中長期的な需要拡大を見据え、生産能力を増強します。
研究開発費も1670億円から1740億円へ、減価償却費は1780億円から1820億円へそれぞれ引き上げました。目先の需要に対応するだけでなく、次世代製品や高性能部品の開発を進める積極姿勢がうかがえます。
第1四半期の設備投資額は前年同期比18.2%増の410億2200万円、研究開発費は12.7%増の448億7500万円でした。投資活動によるキャッシュフローは750億6600万円の支出となり、前年同期から支出額が大きく増えています。
もっとも、6月末時点の親会社所有者帰属持分比率は85.9%と極めて高く、財務基盤には十分な余力があります。積極投資を進めながらも、財務健全性は高い水準を維持しています。

村田製作所 東京支社/2026年4月22日、東京渋谷にて。撮影:SHUN (STOCK EXPRESS編集部)
値上げには慎重も、一部製品で価格調整の可能性
株式市場では、MLCCの需給逼迫を背景とした価格戦略にも関心が集まっています。
中島社長は、中長期的な顧客関係を重視し、原則として同一製品を値上げしない従来方針を改めて示しました。一方、競合他社との価格差が極端に広がっている製品については、村田製作所へ注文が集中し、安定供給が難しくなる可能性があります。
そのため、供給責任を果たす目的で一部製品の価格を調整するケースがあり得るとの考えも示しました。仮に需給が逼迫した製品で価格是正が進めば、販売数量の増加に加えて採算改善も期待できます。
ただし、同社の今回の決算でも製品価格の下落は減益要因として挙げられています。増産効果、円安、価格下落の三つが今後の利益率をどのように左右するかが重要になるでしょう。
15年周期の成長局面、AIが「次の主役」に
村田製作所は、電子機器の技術革新とともに約15年周期で大きな成長局面を迎えてきました。1980年代にはビデオカメラ、2000年代にはパソコン、2010年代にはスマートフォン向け部品が利益拡大をけん引しました。
2027年3月期の営業利益率予想は20.4%となり、同社が2028年3月期の中期目標として掲げる18%以上を1年前倒しで上回る見通しです。AIサーバーが、スマートフォンに続く次の大型需要を形成しつつあるといえます。
さらに中長期的には、ロボットや自動運転車など、現実空間で稼働する「フィジカルAI」の普及も電子部品需要を押し上げる可能性があります。AIサーバーの高度化が第1の成長波となり、その後にAI搭載端末の普及が第2の成長波として続くとの期待があります。
投資家として注目すべき今後のポイント
今回の決算は、売上収益、営業利益、純利益のすべてで通期予想を引き上げ、純利益は市場予想も上回る強い内容でした。第1四半期の営業利益率が19.6%まで上昇したことや、コンデンサー受注高が85.5%増となったことからも、足元の事業環境の強さが確認できます。
一方、通期上方修正には、想定為替レートを1ドル=150円から155円へ変更した効果も含まれます。今後円高が進行した場合、利益の押し下げ要因になる可能性があります。
また、データセンター向け受注の一部に過熱感があるとの会社側の認識にも注意が必要です。AI関連投資の一服、顧客側の在庫調整、MLCCの増産による需給緩和が起きれば、受注の伸びが鈍化する可能性があります。
それでも、AIサーバー向け部品の急成長に加え、スマートフォン、自動車、産業機器まで幅広い用途で販売が伸びている点は大きな強みです。村田製作所は従来のスマートフォン部品株という位置付けから、データセンターとフィジカルAIの成長を取り込む「AIインフラ関連株」へ評価が変わる局面に入ったとみられます。
私自身、村田製作所の株を保有しておりますが、本日の発表を拝見し、”まだ売らなくて良かった”と安堵しました。ここ最近、株価が下落傾向にあったので、”損切しようかな”と思った場面もあったのですが、価値の高い事業をおこなっている同社でもあり、保有を続けておりました。今後の展開も注視していこうと思います。
なお、本記事は、投資判断の参考情報として提供するものであり、特定の株式売買を推奨するものではありません。投資の最終ご判断はあくまで自己責任でお願いいたします。

STOCK EXPRESS車掌 SHUN
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【Dear Overseas Investors: Summary in English】
Murata Raises FY Net Profit Forecast to Record ¥338 Billion on AI Server Demand
Murata Manufacturing raised its net profit forecast for the fiscal year ending March 2027 to ¥338 billion, up 44.5% year on year and above the market consensus. The company expects to post a record profit for the first time in five years.
Revenue is forecast to rise 15.2% to a record ¥2.11 trillion, while operating profit is expected to jump 52.6% to ¥430 billion. Annual dividend guidance remains unchanged at ¥70 per share.
The upgrade was driven by stronger-than-expected demand for multilayer ceramic capacitors, or MLCCs, used in AI servers. Murata expects its data-center-related sales to roughly double to ¥370.6 billion. A single AI server can require between 15,000 and 25,000 MLCCs.
For the April-June quarter, net profit surged 63.7% to ¥81.4 billion, while revenue increased 20.7% to ¥502.3 billion. The operating margin improved sharply to 19.6% from 14.8%.
Murata plans additional investment to expand production capacity, including ¥80 billion for MLCC facilities over two years. However, management cautioned that current data-center orders may be somewhat overheated, highlighting potential risks from excess inventory and demand normalization.
The shares finished at their daily limit, rising ¥1,000 to ¥7,416, as investors increasingly view Murata as a key beneficiary of the global AI infrastructure boom.
Disclaimer: This article is provided for informational purposes only and should not be construed as a recommendation to buy or sell any specific securities. Please make investment decisions at your own discretion.





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