なぜ、中東情勢の緊張で 商船三井株が急騰するのか

なぜ、中東情勢の緊張で 商船三井株が急騰するのか 株式劇場

中東情勢の緊張で商船三井株が上昇

▼商船三井 株価推移(2026年1月〜3月12日)

商船三井 株価推移(2026年1月〜3月12日)

商船三井 株価推移(2026年1月〜3月12日)

東京株式市場で海運大手株式会社商船三井(東証プライム 9104)の株価が上昇しています。背景には、中東情勢の緊迫化による物流の混乱があり、海運市況の上昇期待が高まっているためでしょう。

現在、中東ではホルムズ海峡周辺で機雷のリスクや船舶攻撃への警戒が強まり、海上輸送に不安定な状況が続いています。実際、商船三井はペルシャ湾内に停泊していたコンテナ船が一部損傷したことを確認したと発表し、日本中に衝撃が走ったばかりです。

通常であれば航路の危険性が高まると海運株にはマイナス材料と考えられがちですが、実際の市場では逆に海運株が上昇するケースも多く見られます。今回の商船三井株の上昇も、海運ビジネス特有の収益構造が背景にあります。

逆に、航行がスムーズな場合、商船三井の株価は下落する傾向もあります。
1月17日の記事(商船三井の株価はなぜ大幅下落したのか? ― スエズ運河再開観測と市況悪化で利益期待後退 ―)でお伝えしたように、スエズ運河の再開観測が広まった際には、商船三井株が下落したこともありました。

戦争や地政学リスクが運賃を押し上げる構造

海運会社の利益は基本的に「輸送量 × 運賃」で決まります。そして戦争や地政学リスクが発生すると、航路変更や通航制限によって航海距離が伸び、結果として船舶の不足が起きやすくなります。

今回のケースでは、ホルムズ海峡周辺の安全性が懸念されることで船舶が迂回航路を取る可能性が高まっています。航海距離が長くなると、同じ輸送量でも必要な船の数が増えるため、世界的に船舶不足の状態が生まれます。やはり、需要と供給のバランスで、需要が多く供給が少なければ、提供する側の価値が高まりますよね。

この結果、運賃が上昇しやすくなるのが海運業界の特徴です。過去の戦争の際にも、物流混乱を背景に海運運賃が急騰した事例があります。

燃料サーチャージが収益を支える

もう一つの重要なポイントは燃料サーチャージ制度です。海運会社は燃料価格が上昇した場合、その一部を荷主に追加料金として請求することが可能です。
現在、コンテナ船会社のOcean Network Express(ONE)は緊急燃料サーチャージを導入しています。原油価格が上昇しても、コストの一部を顧客に転嫁できる仕組みがあるため、海運会社の収益が急激に悪化しにくい構造になっています。
この制度も、地政学リスク下で海運株が比較的強い動きを見せる理由の一つといえます。

船不足という海運業界の構造

海運株が上昇するもう一つの要因は、船舶供給の制約です。新造船の建造には通常2〜3年程度の時間がかかります。そのため、需要が急増してもすぐに供給を増やすことができません

パンデミック禍では物流需要の急増によって海運運賃が急騰し、2021年には「海運バブル」と呼ばれるほどの好況が生まれました。今回も紅海危機やホルムズ海峡の緊張などによって世界の航路が乱れ、実質的な船不足の状態が生まれています。
こうした供給制約の構造が、海運株の上昇を後押ししています。

商船三井はエネルギー輸送に強み

商船三井はコンテナ船だけでなく、LNG船タンカーなどエネルギー輸送の比率が高い点も特徴です。
中東情勢が緊迫すると原油やガス輸送の需要が増加し、運賃の上昇期待が高まりやすくなります。そのため同社の株価は地政学リスクの影響を受けやすい一方で、混乱時には評価されやすい側面があります。

海運株は高配当の有事銘柄

海運株は景気敏感株として知られる一方、高い配当利回りも魅力です。市場全体が不安定な局面では、有事に強いバリュー株としてポートフォリオの分散先として注目されることもあります。
特に近年は物流混乱が頻発しており、パンデミック以降は海運株のボラティリティが高まりながらも、運賃上昇による収益拡大の局面が増えています。

今後の焦点はホルムズ海峡の動向

もっとも、海運株は市況依存度が高く、運賃動向や船舶供給の影響を強く受けます。今後、新造船の増加や物流正常化が進めば運賃は下落する可能性もあります。
当面の焦点は
・ホルムズ海峡の安全状況
・中東情勢の長期化
・世界の海運運賃の動向
でしょう。

今回の商船三井株の上昇は、戦争や地政学リスクが海運ビジネスに与える影響を示す典型例といえます。物流の混乱が続く限り、海運市況は引き続き投資家の注目テーマとなりそうです。

なお、本記事は、投資判断の参考情報として提供するものであり、特定の株式売買を推奨するものではありません。投資の最終ご判断はあくまで自己責任でお願いいたします。

STOCK EXPRESSの車掌、SHUN

STOCK EXPRESS車掌 SHUN

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【Dear Overseas Investors: Summary in English】

Mitsui O.S.K. Lines Shares Rise as Middle East Tensions Boost Shipping Rates

Shares of Mitsui O.S.K. Lines (MOL) have climbed as escalating tensions in the Middle East disrupt global shipping routes and drive expectations for higher freight rates. Concerns over potential threats in the Strait of Hormuz, including mines and vessel attacks, have forced ships to consider longer detour routes, tightening global shipping capacity.

Paradoxically, geopolitical risks often benefit shipping companies. When key routes become dangerous or restricted, vessels must travel longer distances, effectively reducing available fleet capacity and pushing freight rates higher. Similar patterns were seen during past conflicts such as the Iran–Iraq war and the Ukraine war.

Shipping companies can also offset rising fuel costs through fuel surcharges, allowing part of the cost increase to be passed on to cargo owners. In addition, the shipping industry faces structural supply constraints, as building new vessels typically takes two to three years, limiting the ability to quickly expand capacity.

MOL is particularly sensitive to geopolitical developments because of its strong exposure to energy transportation, including LNG carriers and tankers. As global shipping routes become more complex and constrained, investors are increasingly pricing in potential gains from higher freight rates.

However, analysts note that shipping stocks remain highly cyclical, and future performance will depend on freight rate trends, global trade demand, and the duration of geopolitical disruptions.

Disclaimer: This article is provided for informational purposes only and should not be construed as a recommendation to buy or sell any specific securities. Please make investment decisions at your own discretion.

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渋谷桜丘 在住。立教大学法学部卒業。株主として様々な企業を応援し、経済活性化に努めております。報道カメラマンとして写真撮影もしており、数々の著名人を撮影。2000年代にはライブドアニュースにて経済記事執筆。(保有資格:知的財産管理技能士、化粧品検定1級、食生活アドバイザー、景表法検定など)

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