株式会社商船三井（9104）は11月4日、2026年3月期第2四半期決算を発表しました。連結純利益は前年同期比53.3％減の1,162億円となり、前期の高水準から大きく減益しました。主力のコンテナ船事業で新造船の供給増による運賃下落が響いたほか、自動車輸送でも為替の影響を受けました。この発表を受け、株価は急落。終値 4,357円をつけ、前日比 −226 (-4.93%)となりました。
▼商船三井 株価推移（2025年10月31日〜11月4日）
商船三井 株価推移（2025年10月31日〜11月4日）
商船三井の決算発表がどのような内容であったのか、以下にて見ていきましょう。
業績予想を下方修正、純利益1,800億円へ
通期の連結純利益見通しは、従来の2,000億円から1,800億円へ200億円下方修正され、前期比57.7％減の見通しです。経常利益も1,700億円から1,520億円へと引き下げ、減益率は59.5％減から63.8％減へ拡大しました。
同社によると、コンテナ船事業では新造船竣工による供給圧力や、中国の国慶節後の需要回復の鈍化を見込んでおり、当初予想を下回る収益となる見込みです。また、製品輸送全体では前年同期比64.7％の減益となり、経常損益は635億円にとどまりました。
指標／前期比／内容
・売上高 △3.4％ 8,697億円
・経常利益 △54.3％ 1,146億円
・純利益 △53.3％ 1,162億円
・通期純利益見通し △57.7％ 1,800億円（下方修正）
・年間配当 △44.4％ 200円（前期360円）
中間決算の概要：減益も一定の安定収益を確保
2025年4〜9月期（上期）の連結売上高は8,697億円（前年同期比3.4％減）、経常利益は1,146億円（同54.3％減）でした。
為替レートは1ドル＝146.09円（前年同期153.71円）、船舶燃料油価格は1トンあたり546ドルと低下しています。
セグメント別では、ドライバルク事業やエネルギー事業は堅調に推移したものの、コンテナ船事業の減益が全体を押し下げました。特に、持分法適用会社のオーシャン・ネットワーク・エクスプレス（ONE）の業績悪化が響いています。
一方、同社が注力する「ウェルビーイングライフ事業」や「不動産事業」は安定した収益を維持し、海外での資産運用・不動産投資が下支えしました。3月にはオランダのLBCタンク・ターミナルズを約17億ドル（約2,600億円）で買収し、安定収益基盤の拡充を進めています。
配当を25円増額し年間200円に
株主還元については、期末配当予想を従来の90円から115円に25円引き上げ、年間配当を200円（前期360円）としました。上期の中間配当は85円で、累計では予想を上回る水準です。
橋本剛社長は同日の会見で、「期初は関税や地政学リスクを懸念し還元強化を見送ったが、現在の株価が当社の成長力を十分に反映していないと判断し、株主還元を見直した」と説明しました。また、浜崎和也CFOは「営業キャッシュフローと資産入れ替えにより、期初想定より700億円の追加キャッシュを確保できる見込み」と述べています。
株価は5％下落も、経営陣は中期改善に自信
発表後、同社株は前日比226円（5％）安の4,357円で取引を終えました。市場では利益予想の下方修正を嫌気する動きが先行しましたが、同社は中長期の業績改善を強調しています。
橋本社長は「25年10月〜26年3月期は慎重に見通しを立てたが、27年・28年3月期にかけて投資の成果が現れ、業績改善を目指す」と述べました。
今後の展望：海運依存脱却と安定収益拡大へ
商船三井は、海運市況に左右されにくい安定収益事業への投資を強化しており、海上輸送以外の分野でもM&Aを活用した成長を模索しています。海運の景気変動による収益の振れ幅を抑え、持続的なキャッシュフロー創出を通じて安定的な株主還元を実現する方針です。
海運市況の調整局面で収益が縮小する一方、商船三井は不動産・エネルギーインフラなどの非海運分野を育成し、長期的な安定成長を志向しています。短期的には利益圧迫が続くものの、構造転換と安定収益の拡充によって将来の株主価値向上が期待されます。
なお、本記事は、投資判断の参考情報として提供するものであり、特定の株式売買を推奨するものではありません。投資の最終ご判断はあくまで自己責任でお願いいたします。
STOCK EXPRESS車掌 SHUN
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