私が株主として長年応援している企業、三菱HCキャピタル株式会社。久井大樹社長が”個人株主も非常に重要な存在”と語っており、考え方も素晴らしいと思います。
この三菱HCキャピタルが10月5日、大きな発表をしました。その内容は、リース用の海上コンテナ船に約2000億円を投資するというもの。リース業界の中で、この発注規模は今年最大クラス。その大規模投資の理由は、コンテナ船の需給が逼迫していることをあげています。なにしろ、中東地域での緊張感の高まりの中、コンテナ船は紅海・スエズ運河の通航を回避して航行しなければいけないため、輸送日数が長期化する傾向がありますから、どうしても船数が足りなくなりますよね。さらに、海上貿易量は順調に増えているわけですから、今後もコンテナ船需要は増えていくことを考えると、ますます必要ですよね。的確に市場の需要をとらえた発表だと思います。
一方、気になるのが、これほどの大規模投資をして経営状態は大丈夫なのか?という点。経営に与える影響について調べてみました。
三菱HCキャピタルの有利子負債比率(計算式:有利子負債 ÷ 自己資本 × 100)は、2024年6月の時点で464%でした。通常の企業ですと、「有利子負債は総資産のうちの60%以内に」という基準がよく語られるものなので、三菱HCCの この数字だけ見ると、”多すぎるな”と感じがちですが、リース会社は そのビジネスモデル上、どうしても多くなる傾向はあります。「(1) 資金調達 (2)資産購入 (3)その資産をリースで貸して使用料をいただく」というモデルなので、先行して資金が必要となりがちです。三菱HCCは、この464%に、今回発表されたコンテナ船分も乗るわけですから、有利子負債比率はさらに増えるでしょう。
ご参考までに、同業他社の有利子負債比率を見てみると、
・リコーリース 416%
・東京センチュリー 522%
・芙蓉リース 611%
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と、どこも高い傾向があります。
リース会社の特性上のことなので、これ自体は悲観することではなさそうです。
重視すべきは”その資産をどれだけ有効活用できているか”という点。ここで見るべき指標は、ROA(Return On Assetsの略)で、総資産利益率を見る財務指標(大きいほど状態が良い)。
三菱HCCのROAは、1.1%
ご参考までに同業他社は、
・リコーリース 0.9 %
・東京センチュリー 1.1 %
・芙蓉リース 1.4 %
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まあ、一般的な業種では、ROAの目安は5%以上と言われておりますが、リース業界の基準的には、上記くらいなのでしょう。この指標でもオリックスの優秀さが際立っておりますね。
三菱HCCも同業他社も、この数字をより高くしていけるよう日々ご尽力されていることと思います。
ということで、今回の三菱HCCのコンテナ船への大規模投資、リース会社の特性上、”この資産をどれだけ有効活用できるか”に勝負がかかっていると思います。期待しながら、動向を見ていきたいと思います。
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