スペシャリティ事業は堅調も、MMA・ポリマーズが足を引っ張る構図
三菱ケミカルグループ株式会社（東証プライム：4188）は本日2025年10月31日、2026年3月期の通期業績予想を下方修正すると発表しました。
市況悪化による販売数量減少や構造改革費用の計上が響き、コア営業利益・当期利益ともに前回予想を下回る見通しです。13:30に発表されたこともあり、市場は反応。株価は急落しています。
▼三菱ケミカルグループ株価推移（2025年10月30日〜31日）
三菱ケミカルグループ株価推移（2025年10月30日〜31日）
今、何が起きているのでしょうか？
以下に詳しく見ていきましょう。
売上・利益ともに前回予想を下回る見込み
修正後の連結業績予想は以下の通りです。
・売上収益：3兆6,720億円（前回比▲1.8％）
・コア営業利益：2,500億円（同▲5.7％）
・営業利益：1,760億円（同▲12.9％）
・親会社株主に帰属する当期利益：1,250億円（同▲13.8％）
・1株当たり利益：91円21銭
2025年3月期実績（前期）は、売上収益3兆9,476億円、コア営業利益2,288億円、当期利益1,056億円であり、今期も引き続き収益性の改善に時間を要する展開となっています。
MMA・ポリマーズ事業の市況悪化が主因
スペシャリティマテリアルズは堅調推移
業績修正の主因は、MMA（メチルメタクリレート）およびベーシックマテリアルズ＆ポリマーズ事業の市況悪化です。
販売数量の減少や市況下落による売買差縮小が影響し、利益を押し下げる見通しとなりました。
一方で、スペシャリティマテリアルズ事業は好調で、コア営業利益は前回予想を190億円上回る650億円を見込んでいます。
また、産業ガス事業は前回予想と同水準の1,890億円を維持しました。
＜セグメント：修正後予想（億円）／前回予想（億円）／増減＞
・スペシャリティマテリアルズ：650／460／+190
・MMA＆デリバティブズ：△10／210／△220
・ベーシックマテリアルズ＆ポリマーズ：△10／100／△110
・産業ガス：1,890／1,890／0
・その他：△20／△10／△10
・合計：2,500／2,650／△150
構造改革費用を下期に計上予定
同社は2025年7月1日に田辺三菱製薬株式会社の全株式および関連資産を譲渡しており、同事業は非継続事業として除外されています。
さらに、下期に構造改革関連費用の計上を予定しており、営業利益・当期利益の押し下げ要因となっています。
投資家としての展望：中長期的な収益改善に期待
短期的にはMMAやポリマーズの市況回復が不透明で、2026年3月期の利益成長は限定的とみられます。しかし同社は、収益性の高いスペシャリティマテリアルズや産業ガス分野への集中を強化しており、 中期的には事業ポートフォリオの再構築による利益体質改善が期待されます。
また、構造改革によるコスト最適化が進めば、次年度以降の利益率改善余地も見込まれます。投資家としては、短期的な調整局面を中長期の仕込み期と見る視点が重要でしょう。
私自身、同社の株主でもあり期待したいところです。株主還元の姿勢を継続していただけると良いのですが…
なお、本記事は、投資判断の参考情報として提供するものであり、特定の株式売買を推奨するものではありません。投資の最終ご判断はあくまで自己責任でお願いいたします。
STOCK EXPRESS車掌 SHUN
株主視点での経済ニュースサイト「STOCK EXPRESS」
ぜひ、ブックマークしてご購読くださいませ。
▼記事更新通知は 私のXにて♪
https://x.com/shun699
コメント