日本の大手自動車メーカー「日産自動車株式会社(NISSAN)」の混迷が伝えられることが多い今日この頃。そんな日産を三菱商事が買収するのではないか、とのウワサが流れております。果たして現実味を帯びた話なのでしょうか?考えてみたいと思います。
三菱商事と日産の関係の強さ
11月4日の記事でもお伝えしたように、三菱商事と日産はつい最近、連携強化の発表をしております。何の分野で連携するのかというと、自動運転やEV(電気自動車)のバッテリーの活用など。共に合弁会社を設立する方向で調整を進めているとのこと。
日産は以前からホンダ・三菱と提携してEVの推進を志向しておりましたし、自動運転を活用した有料送客サービスを目指しておりました。三菱商事もAI(人工知能)を活用した最適ルート提供システムの事業化を進めておりましたから、両社の志向がマッチしているのでしょう。このようなことからも「日産自体を三菱商事が買収するのでは?」と予想する人が出ているのかもしれません。
また、日産は三菱グループの三菱自動車工業株式会社との関係も深いです。
つい先日の日産決算発表では、保有する三菱自動車の株式の一部を三菱自動車へ売却することを発表しました。日産は今まで、5億662万577株を保有しており、これは三菱自動車の発行済株式総数(自己株式以外)の34.07%に相当。このうち、1億4902万8300株(自己株式以外の発行済株式総数の10.02%)を上限として三菱自動車に売却するのです。すこしでも資金を作るための施策でしょうね。
三菱自動車は今まで日産の傘下にある状況でしたが、三菱グループの保有比率が高まりますね。三菱商事は三菱自動車株を20%保有しています。高まる三菱商事の存在感。
背景に”物言う株主”の台頭
日産は最近、旧村上ファンド出身者が設立した投資ファンド「エフィッシモ・キャピタル・マネージメント」が保有比率を高めていることで話題です。
彼らは、いわゆるアクティビスト(物言う株主)として有名なので、日産のコーポレート・ガバナンスを軌道修正させて企業価値を上げてくれるのではないか、との市場の思惑も働き、日産の株価は上昇傾向にあります。
また、新たに香港のヘッジファンド「オアシス・マネジメント」も保有していることが報じられました。
こうして物言う株主が集まり、株価は持ち直している日産。物言う株主が日産の経営陣に働きかけ、有力企業に株を買い取ってもらうことで売り抜けようとすることが想定されます。それにより株価が上がることを投資家が期待していると思われます。
その”買い手”はどの企業になるのか… つい先日は、”ホンダが買うのでは?”とのウワサが流れておりましたが、本日は三菱商事。果たして日産の行方は何処に…
三菱商事の株価への影響が懸念
こうした買収予測により、日産の株価が持ち直している状況ですが、一方で、買収する側の株価下落は懸念されるところです。なにしろ、日産の決算発表でもわかるように、問題点が山積み状態ですから、買い取る側への負担増加は心配です。
ただでさえ、三菱商事の株価は今年5月をピークに下落し続けている上、日産の買収発表などあった際には、さらに下落しかねません。私も昨日から三菱商事の株主になったこともありw、心配です。
もちろん、日産は日本を代表する自動車メーカーですし、一時代を築いた名車をたくさん生産してきた実績があります。ファンも多いですし、優れた技術も持ち合わせており、高い価値もある企業ですから、このピンチを救ってくれる救世主が表れてくれることに期待したいです。
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