旧村上ファンド系の投資会社シティインデックスイレブンス(東京都渋谷区)が、マンダム株を買い増ししたことが明らかになりました。29日付で関東財務局に提出された大量保有報告書によれば、村上世彰氏の長女である野村絢氏らとの共同保有比率は従来の9.61%から11.54%へ上昇しました。報告義務発生日は9月19日です。この問題については、9月24日の記事(マンダムMBOに波紋!村上世彰氏長女・野村絢氏らが66億円投下し6%超取得)でお伝えしたばかりですが、その後も旧村上ファンド系の勢いは止まりませんね。
今回の動きは、進行中のMBO(経営陣が参加する買収)を巡る株主間の綱引きを一層複雑にしています。
TOBの概要と現在の株価動向
マンダムを巡っては、欧州大手PEファンドのCVCキャピタル・パートナーズ傘下のカロンホールディングス(東京都千代田区)が、MBOの一環としてTOBを実施中です。買付価格は1株あたり1,960円で、11月10日までに約793億円を投じて全株取得を目指しています。TOB発表当日の終値に対し32%のプレミアムを付けていますが、29日の終値は2,222円とTOB価格を大幅に上回っています。
▼マンダム株価推移(2025年9月12日〜29日)

マンダム株価推移(2025年9月12日〜29日)
市場価格がTOB価格を上回る状況は、投資家が「提示価格は割安」と受け止めていることを示唆しています。
アクティビストの存在感と価格交渉の可能性
今回の買い増しで、野村氏らはマンダム株の1割超を押さえました。これはTOBの成立に対して大きな影響力を持つ水準です。過去の事例では、アクティビストの参入によりTOB価格が複数回引き上げられたケースもあり、今回も同様のシナリオが想定されます。
背景には、MBOが持つ「利益相反リスク」があります。経営陣は株主の利益最大化を図るべき立場である一方、買収側に回るとできるだけ安く取得したいというインセンティブを持ちます。そのため、提示価格の妥当性が常に疑問視されやすいのです。
マンダムの場合、PBR(株価純資産倍率)は1倍割れを回避しているものの、EV/EBITDA倍率では化粧品業界平均(約10倍)を下回ると指摘されており、買収価格が「業界標準に比べて割安」との見方も出ています。
投資家としての注目点
1.TOB価格の見直し余地
アクティビストの影響力拡大により、CVC側が追加プレミアムを提示するかどうかが焦点となります。
2.MBO成立リスク
株主の応募が進まなければ、MBOそのものが頓挫する可能性があります。
3.市場価格のシグナル
株価がTOB価格を大幅に上回って推移している点は、マーケットが「現行条件でのMBOは成立困難」と織り込み始めている可能性を示しています。
今後のシナリオ別株価見通し
シナリオ①:TOB成立(現行価格、もしくは条件修正後)
・現行価格1,960円で成立した場合
市場株価はTOB価格に収斂する動きとなり、2,222円前後の水準から下落するリスクが高いです。短期的には保有株を応募する株主にとって「確実な売却益」を得られる一方、応募しない株主には株価調整局面が訪れる可能性があります。
・TOB価格が引き上げられた場合
追加プレミアム提示により市場株価が再度上昇する可能性があります。過去のMBO案件同様、2段階・3段階の価格引き上げシナリオも想定され、株主側の交渉力が強まる局面です。
シナリオ②:TOB不成立
・買収が頓挫した場合、株価は短期的に調整圧力を受ける可能性が高いです。ただし、マンダムが持つブランド力や財務基盤を背景に、企業価値を割安とみる投資家が多ければ、中長期的には再び別の買収提案や戦略的提携の可能性が浮上することも考えられます。
・この場合、株価はTOB価格を下回る水準に一旦戻す一方、将来的な再評価余地が残ります。
総合評価
マンダム株を巡る動きは、単なるMBO案件に留まらず、アクティビストの存在が買収価格交渉の主導権を左右する象徴的な事例となっています。投資家にとっては、TOB価格の引き上げ有無 と MBO成立・不成立の分岐点 が最大の注目材料です。
株価が既にTOB価格を大幅に上回る現状を踏まえると、今後は「TOB条件修正による株価上昇」か「不成立による短期調整」のいずれかに振れる可能性が高く、短期投資家・長期投資家ともにシナリオ別の戦略が求められます。
短期投資家にとっては「現行株価で利益確定」か「追加プレミアムを狙った短期保有」が分かれ目となり、中長期投資家にとっては「不成立後の再評価余地を見込んだ忍耐的な保有」が戦略となります。
いずれのシナリオでも、投資判断は TOB価格の引き上げ有無 と MBO成立の可能性 に大きく依存するため、今後数週間の進展を注視することが不可欠でしょう。
それにしても、最近の野村絢氏ら旧村上ファンド系の動きが活発ですよね。まさに、アクティビスト。マンダム以外にも太平洋工業やソフト99コーポレーションの株も買い増しを進めています。これらの企業の共通するのは、MBO(経営陣が参加する買収)への物言い、という点。果てしてMBOは成功できるのか、あるいは頓挫するのか。注目していきたいと思います。
旧村上ファンド系、マンダム株買い増しを進めて保有比率15%に
(追記:10月1日)
旧村上ファンド系の投資会社、シティインデックスイレブンスが共同保有者の野村絢氏(物言う株主として知られる村上世彰氏の長女)と合計でマンダム株の保有比率を15%に引き上げたことが10月1日提出の変更報告書で明らかになりました。前日の9月30日提出の変更報告書では13.06%でしたから、急速に買い進めていることがわかります。今後の展開はどうなるのか。見守っていきたいと思います。
念の為ではございますが、投資の最終ご判断はあくまで自己責任でお願いいたします。

STOCK EXPRESS車掌 SHUN
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マンダム、MBO巡り混迷続く!アクティビストの影響で新たな買収提案を模索【マンダム劇場 第3章】

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