レーザーテック株式会社(東証プライム・6920)が6月17日の東京株式市場で株価急騰し、株式分割考慮ベースの上場来高値を更新しました。株価は一時前日比6,410円高(13.76%)の5万2,980円まで買われ、初めて5万円台に到達。終値も5万2,700円と前日比6,130円高(13.16%)となり、市場の注目を集めました。
今回の株価急騰の背景には、世界の半導体産業において極めて重要な存在であるオランダの半導体製造装置大手ASMLホールディングの生産能力拡大方針が伝わったことがあります。AI(人工知能)関連投資の拡大が続くなか、半導体製造の最先端領域に位置するレーザーテックへの期待が改めて高まっています。
▼レーザーテック株価推移(2026年6月12日~17日)

レーザーテック株価推移(2026年6月12日~17日)
レーザーテックで今何が起きているのか、以下にて詳しく見ていきましょう!!
ASMLの強気見通しが市場を刺激
株価急騰のきっかけとなったのは、17日早朝に放送されたテレビ東京系の経済番組「Newsモーニングサテライト」の報道です。
同番組では、日本のテレビ局として初めてASML幹部へのインタビューを実施。ASML側は、世界的なAI開発競争の激化を背景に最先端半導体への需要が急拡大していることを受け、「非常に力強い需要があり、生産能力を拡大している」と明らかにしました。
ASMLは、最先端半導体製造に不可欠なEUV(極端紫外線)露光装置を世界で唯一供給する企業として知られています。生成AI向けの高性能GPUやデータセンター向け半導体の需要増加によって、EUV露光装置の重要性はますます高まっています。
こうした発言を受け、市場ではASMLの設備投資拡大による恩恵を受ける関連企業への物色が活発化。その中でも最有力銘柄としてレーザーテックに資金が集中する展開となりました。
EUVマスク検査装置で独占的地位
レーザーテックが注目される最大の理由は、EUV向けマスク検査装置分野で世界的な独占的ポジションを築いていることです。
半導体製造では、回路パターンを転写するための「フォトマスク」が不可欠ですが、EUV世代では極めて微細な回路形成が求められるため、わずかな欠陥も許されません。そのため、高精度な検査装置の存在が製造歩留まりを左右します。
レーザーテックは、このEUVマスクブランクス欠陥検査装置およびEUVマスク欠陥検査装置を供給する世界唯一の企業として知られています。高度な技術力と長年の開発実績によって参入障壁を築いており、半導体業界における「オンリーワン企業」として高い評価を受けています。
ASMLのEUV露光装置が増産されれば、それに伴ってEUV関連の検査需要も増加する可能性が高く、市場ではレーザーテックの中長期的な業績拡大への期待が高まっています。
AIブームが追い風、再び主役銘柄へ
近年の半導体市場では、生成AIブームが大きなテーマとなっています。
ChatGPTをはじめとする生成AIサービスの普及によって、NVIDIA製GPUを中心とした高性能半導体への需要が急拡大しています。これに伴い、TSMCやサムスン電子、インテルなど世界の半導体メーカーは最先端プロセスへの投資を加速させています。
その結果、EUV露光装置の需要が高まり、さらにその周辺装置を供給するレーザーテックにも恩恵が波及する構図です。
実際にレーザーテックは、2023年には東証全体の売買代金ランキングで首位を獲得するなど、日本市場を代表する半導体関連銘柄として高い人気を誇りました。当時は東証全体の売買代金の約1割を占める日もあり、個人投資家から機関投資家まで幅広い層の資金を集めました。
その後は半導体市況の調整や空売りファンドの動向などを背景に株価が低迷する局面もありましたが、足元ではAI関連需要の再拡大を背景に再び市場の主役へと返り咲きつつあります。
驚異的な成長を遂げた業績推移
レーザーテックの業績成長は近年目覚ましいものがあります。
2020年6月期の売上高は425億円、営業利益は150億円でしたが、その後EUV関連需要の拡大を追い風に急成長を遂げました。
2025年6月期には売上高2,514億円、営業利益1,228億円を達成しており、わずか5年間で売上高は約6倍、営業利益は約8倍に拡大しています。
この成長の背景には、EUV技術の本格普及に加え、生成AI向け半導体需要の急増、自動車の電動化に伴うパワー半導体市場の拡大などがあります。また、納入済み装置の増加により保守・サービス事業も拡大しており、安定収益源として存在感を高めています。
同社が掲げる「グローバルニッチ戦略」も奏功しています。大企業が本格参入するには市場規模が限定的でありながら、高度な技術力が求められる領域に集中することで、世界トップシェアを維持してきました。
今期は減収減益予想、株価には高い期待織り込む
一方で、投資家が注意すべき点もあります。
レーザーテックの2026年6月期会社予想は、売上高2,200億円(前期比12.5%減)、営業利益1,000億円(同18.6%減)と減収減益を見込んでいます。
市場コンセンサスでは売上高2,265億円、営業利益1,052億円と会社計画を上回る見方もありますが、業績成長は一旦踊り場を迎えている状況です。
また、今回の急騰によって株価は5万円台に到達し、PER(株価収益率)は60倍台と高い評価水準にあります。市場関係者の間では、「AI関連の長期成長ストーリーは強固だが、来期以降の業績再加速が確認できるまでは上値が重くなる可能性もある」との見方も出ています。
今後の焦点はAI投資拡大とASMLの増産効果
今回の株価急騰は、単なる思惑買いというよりも、世界のAI投資拡大という大きな潮流を反映した動きといえます。
ASMLが生産能力拡大に踏み切るほど需要環境が強いのであれば、そのサプライチェーンの中核を担うレーザーテックにも中長期的な恩恵が及ぶ可能性があります。
もっとも、現在の株価には高い成長期待が織り込まれているため、今後は受注動向や業績進捗、さらにはASMLの増産計画がどの程度実際の受注につながるかが重要な焦点となります。
世界唯一のEUVマスク検査装置メーカーとして圧倒的な競争優位を持つレーザーテック。AI時代の半導体投資拡大を背景に、再び日本株市場を代表する成長銘柄として存在感を高めています。今後の業績動向と株価の行方に、投資家の視線が一段と集まりそうです。
なお、本記事は、投資判断の参考情報として提供するものであり、特定の株式売買を推奨するものではありません。投資の最終ご判断はあくまで自己責任でお願いいたします。

STOCK EXPRESS車掌 SHUN
株主視点での経済ニュースサイト「STOCK EXPRESS」では、今後も最新情報を発信してまいります。
ぜひ、STOCK EXPRESS トップページをブックマークしてご購読くださいませ。
▼記事更新通知は 私のXにて♪
https://x.com/shun699
【Dear Overseas Investors: Summary in English】
Lasertec Surges to Record High as ASML Expands EUV Production Capacity
TOKYO, June 17 — Shares of Lasertec Corp. (TSE: 6920), a leading supplier of semiconductor inspection equipment, jumped 13.2% on Tuesday to a record closing high of ¥52,700, surpassing the ¥50,000 level for the first time.
The rally was triggered by comments from executives of Dutch semiconductor equipment giant ASML Holding, who said demand for its advanced EUV (Extreme Ultraviolet) lithography systems remains “very strong” amid the global AI investment boom and that the company is expanding production capacity.
Lasertec is the world’s sole supplier of EUV mask defect inspection systems, making it a key beneficiary of increased EUV tool production. Investors view the company as one of the most direct ways to gain exposure to the rapid growth of AI-related semiconductor manufacturing.
The company has built a dominant position in a highly specialized niche market, supplying critical inspection tools used in the production of next-generation chips manufactured by leading foundries such as TSMC and Samsung.
Despite the strong share-price performance, Lasertec forecasts a decline in both revenue and operating profit for fiscal 2026, following several years of exceptional growth. Some analysts note that the stock is trading at a premium valuation, with expectations already reflecting a significant portion of future AI-driven demand.
Nevertheless, ASML’s expansion plans reinforce investor confidence that long-term demand for EUV-related technologies will remain robust, supporting Lasertec’s growth prospects in the global semiconductor supply chain.
Disclaimer: This article is provided for informational purposes only and should not be construed as a recommendation to buy or sell any specific securities. Please make investment decisions at your own discretion.





コメント