元カップルYouTuber「なこなこカップル」として活動していたこーくんが、資産運用によって経済的自立を意味する「FIRE」を達成したことを明らかにしました。28歳という若さで形成した資産は本人によると約2億円に達しており、そのうち約1億2000万円を米国企業などが発行する社債で運用しているといいます。
こーくんが明かした運用利回りは、おおむね年6%です。単純計算では、1億2000万円の6%に当たる約720万円の利息収入を毎年受け取ることになります。月額に換算すると約60万円となり、本人はこれを「不労所得」と表現しました。
今回の告白は、YouTuberという不安定な職業への不安から、収入を積極的に使うのではなく、将来のために蓄積し続けた結果だと説明されています。人気YouTuberの資産公開という話題性にとどまらず、高収入を得た後の資産管理、外貨分散、社債投資、そしてFIRE後の働き方を考えるうえでも、投資家に多くの示唆を与える内容となっています。
以下にて詳しく解説します。
「2億ダムくらい」――本人が明かした驚きの資産規模
こーくんは、お笑いコンビ「ボシマックス」のセイギと共同で運営するYouTubeチャンネル「さすがに無理か。」に出演し、「【億万長者】FIREしたこーくんの貯金額全て公開します。」と題した動画で、自身の資産状況や投資内容について語りました。
動画では金額の単位を円ではなく、貯めるという意味を込めた「ダム」と表現しています。そのうえで、資産運用に回している金額について「2億ダムくらいいっている気がします」と発言しました。発言内容に沿って解釈すれば、運用資産は約2億円規模に達しているとみられます。
ただし、これは金融機関の残高証明書などで確認された数字ではなく、あくまで本人が動画内で明かした自己申告です。また、「貯金」という言葉が使われていますが、実際には預貯金だけでなく、米国社債や株式投資などを含めた金融資産全体を指していると考えられます。
こーくんは、資産の大部分を円のまま保有するのではなく、ドル建て資産に移しているとも説明しました。投資した当時に約1億2000万円だった米国社債の円換算額が、為替変動によって約1億3000万円に増えたとも語っています。ドル高・円安が進んだことで、円換算した資産価値が押し上げられたということになります。
YouTuberとしての成功を「一時的な収入」で終わらせなかった
こーくんが資産形成を強く意識した背景には、YouTuberという職業に対する将来不安がありました。2019年にYouTubeでの活動を始める前は公務員を目指しており、安定した給与や雇用が期待できる道から、収入の変動が大きいYouTuberへ転身することに不安を感じていたといいます。
YouTuberとして活動を始める際には、周囲から「この先はどうするのか」「何歳まで続けるのか」と繰り返し聞かれたそうです。動画の再生回数や広告収入は常に変動し、人気がいつまで続くかを正確に予測することはできません。そのため、こーくんは将来への不安を解消する方法として、生涯に必要となる資金を早い段階で確保することを目標にしました。
「稼いで使ったら駄目」「貯め切る」と決め、収入が増えても生活水準や金銭感覚を大きく変えなかったことが、約2億円という資産形成につながったと説明しています。本人は物欲があまりなく、お金が入ってきても使わなかったことに加え、意識的に資産を蓄積してきたと振り返りました。
投資家の視点から見ると、こーくんの資産形成で注目されるのは、YouTubeで大きな収入を得たことだけではありません。変動の大きい事業所得を、継続的な利息を生む金融資産へ移していった点が重要です。
芸能活動や動画配信などから得られる収入は、本人の人気、プラットフォームの規約、広告市場、視聴者の嗜好などに大きく左右されます。一方、債券は発行体が債務不履行に陥らない限り、あらかじめ定められた条件で利息を受け取ることができます。収入の性質を「自分が働かなければ得られない収入」から、「保有資産が生み出す収入」へ変えたことが、今回のFIREの土台になったといえます。
約1億2000万円を米国社債へ、年6%で運用
こーくんの資産運用の中心となっているのが、約1億2000万円に上る米国社債などへの投資です。本人は、ゴールドマン・サックス、オラクル、フォード、ソフトバンク、メキシコ石油公社などの債券を保有していると説明しました。
社債は、企業が事業資金を調達するために発行する債券です。投資家は企業へ資金を貸す代わりに、定期的な利息を受け取り、原則として満期を迎えると額面金額が返還されます。株式の配当は企業業績や取締役会の判断によって増減する可能性がありますが、社債の利払い条件は発行時に定められています。
こーくんは、保有する社債全体をおおむね年6%で運用しているとしています。1億2000万円に対して年6%なら、年間の利息収入は約720万円です。税引き前では月平均約60万円となり、一般的な生活費を賄うには相応の規模といえます。
もっとも、約720万円がそのまま手元に残るわけではありません。本人も動画内で触れているように、利息には税金がかかります。仮に約20%相当が差し引かれるとすれば、単純計算による税引き後の年間収入は約576万円、月平均では約48万円です。実際の手取り額は、債券の種類、口座区分、為替、税務上の取り扱いなどによって変わるため、額面上の利回りと自由に使える金額は分けて考える必要があります。
年6%の利回りは「安全に必ず受け取れる収益」ではない
年間720万円の利息収入という数字は非常に魅力的ですが、投資家はその収益の裏側にあるリスクにも目を向ける必要があります。一般的に、債券の利回りが高いほど、市場が評価する信用リスクや価格変動リスクも大きくなる傾向があります。
社債は預金ではないため、発行企業の経営状態が悪化すれば、利息の支払いが停止されたり、満期時に元本の一部または全部が返ってこなかったりする可能性があります。企業が破綻しなくても、信用格付けの引き下げや市場金利の上昇によって、保有する債券の時価が下落する場合もあります。
動画内では、債券には発行体の信用力に応じた格付けがあり、信用リスクが比較的高い債券ほど高い利回りを期待できるという趣旨の説明も行われました。たとえば国営企業であっても、政府による救済や元利金の支払いが必ず保証されているとは限りません。「国営だから破綻しない」と断定するのではなく、発行条件、保証の有無、財務内容、格付け、国の財政状況などを確認する必要があります。
また、複数の企業の社債を保有していたとしても、約1億2000万円という大きな金額が特定の資産クラスに集中していれば、信用市場全体が悪化した場合の影響を受けます。社債同士の分散だけでなく、現金、国債、株式、投資信託などを含む資産全体の配分を考えることが重要です。
ドル建て資産がもたらした円安メリットと為替リスク
こーくんは「円だけで持つのは弱い」と考え、資産をドルに替えたと説明しています。日本円以外の通貨で資産を持つことは、通貨分散という面で一定の意味があります。円安が進めば、ドル建て資産の円換算額は増加します。
本人によると、投資した当時に約1億2000万円だった資産は、為替の影響によって約1億3000万円に増えたといいます。債券そのものから得られる利息に加え、ドル高・円安による為替差益が円換算資産を押し上げた形です。
一方で、今後円高・ドル安へ転じた場合は、反対の現象が起こります。たとえばドルベースでは元本が変わっていなくても、円換算した資産額は減少します。ドル建てで年間6%の利息を受け取っても、円がそれ以上に上昇すれば、円換算ベースの収益が相殺される可能性があります。
日本で生活し、支出の多くを円で行う投資家にとっては、ドル建て資産の金額だけでなく、最終的に円へ交換した後の手取り額が重要です。今回の事例は外貨分散のメリットを示す一方、為替によって資産価値が大きく変わることも改めて示しています。
S&P500への投資も開始、ただし運用歴は1~2年
こーくんは米国社債だけでなく、米国の代表的な株価指数であるS&P500に連動する商品にも投資していると明かしました。ただし、こちらは最近になって始めたもので、運用期間は1~2年程度だとしています。
S&P500への投資は、米国を代表する大型企業へ幅広く分散投資できる点が特徴です。長期的な資産成長を目指す投資家の間で広く活用されていますが、株式市場の下落局面では評価額が大きく減少する可能性があります。社債のように一定の利息を受け取る運用とは、収益の仕組みもリスクの性質も異なります。
動画では、積立型の非課税制度を利用していたものの、途中で資金を引き出した経験も語られました。投資を始めた時期が比較的最近であることを踏まえると、約2億円の資産の大半は投資によってゼロから増やしたというよりも、YouTube活動などで得た収入を蓄積し、それを金融商品へ移したものと考えるのが自然です。
つまり、今回のFIREは「少額投資だけで短期間に2億円を作った」という事例ではありません。高い事業所得を得たうえで支出を抑え、まとまった元本を形成し、その元本を社債などで運用することによって、生活を支え得るキャッシュフローを生み出した事例です。この順序を誤解しないことが大切です。
FIREの本質は「仕事を完全に辞めること」ではない
FIREは「Financial Independence, Retire Early」の略で、一般的には「経済的自立と早期リタイア」と訳されます。しかし、FIREを達成したからといって、必ずしも仕事を完全に辞めなければならないわけではありません。
資産収入によって基礎的な生活費を賄える状態になれば、収入だけを目的として仕事を選ぶ必要が薄れます。働く時間を減らす、好きな仕事へ移る、新しい事業に挑戦するなど、自分の意思で働き方を選びやすくなることがFIREの大きな価値です。
こーくんも、年間約720万円の利息収入があることによって、YouTubeを続けたり、ほかの事業に挑戦したりできると話しています。本人は「寝ていても入ってくる」収入を得ることで、YouTuberとしての将来不安を軽減し、好きなことを仕事にできるようになったと説明しました。
今後については、保有するドル建て資産を基本的にそのまま運用しながら、事業投資にも取り組みたいとしています。お酒が好きであることから、将来的には自分たちで飲食店を持つ構想にも言及しました。
金融資産から安定的な収入を得つつ、一部の現金を新規事業のために確保する考えです。単に早期リタイアして消費するのではなく、金融資産を生活の安全網として残し、そのうえで自分が関心を持つ仕事や事業へ挑戦するスタイルといえます。
年間720万円だけではFIREの成否を判断できない
こーくんは自身をFIREした状態と説明していますが、FIREを達成しているかどうかは、資産額や年間収入だけで一律に判断できません。重要なのは、税引き後の資産収入が本人の年間支出を継続的に上回っているかという点です。
年間720万円の利息収入があっても、税金や社会保険料を差し引いた後の可処分所得は少なくなります。さらに、住宅費、生活費、家族構成、将来の医療費、インフレなどによって、必要な金額は人それぞれ異なります。
また、社債には満期があります。現在6%の利回りを得られていても、満期を迎えた後に同じ条件で再投資できるとは限りません。将来、市場金利が低下すれば、新たに購入できる債券の利回りも下がり、利息収入が減少する「再投資リスク」があります。
反対に金利が上昇すれば、既に保有している固定利率の債券価格が下落する可能性があります。満期まで持てば額面で償還されることが基本ですが、途中で現金化する必要が生じた場合は、購入価格を下回る金額で売却しなければならないこともあります。
資産収入を長期間にわたって生活の基盤とするには、現在の利息だけでなく、税引き後収入、信用リスク、為替リスク、インフレ、満期構成、再投資条件まで含めた管理が必要です。
「1億2000万円×6%」が示す元本の力
今回の事例が投資家に示す最大のポイントは、利回りだけでなく元本の大きさです。年6%で運用した場合、100万円から得られる年間収益は税引き前で6万円ですが、元本が1億2000万円なら720万円になります。
同じ利回りでも、運用元本によって得られる金額は大きく異なります。資産形成の初期段階では、より高い利回りの商品を探すこと以上に、働いて得た収入を継続的に貯蓄・投資へ回し、元本を増やすことが重要になります。
こーくんのケースでも、約2億円という資産形成の根幹にあったのは、YouTuberとして得た収入を使い切らなかったことでした。高収入を得た時期に生活水準を急激に引き上げず、将来の収益を生む資産へ転換したことが、その後の年間720万円というキャッシュフローにつながっています。
これは、個人だけでなく企業の資本配分にも通じる考え方です。企業が本業で稼いだキャッシュをすべて費用として使うのではなく、将来の成長投資や収益資産の取得、財務基盤の強化に振り向けることで、継続的に利益を生み出す体質を作ることができます。
投資家が注意したい「高利回り」と「不労所得」の言葉
今回の動画では、年間720万円が「何もせずに、寝ていても入ってくる」と表現されました。確かに、日々労働しなくても債券から利息を受け取れるという意味では、不労所得と呼ぶことができます。
しかし、金融商品から得られる収入は、完全にリスクのない収入ではありません。債券を購入する前には発行体の信用力や償還条件を確認し、保有中も業績や格付けを把握する必要があります。為替変動や税金への対応、満期後の再投資も求められます。
特に、著名人が高い利回りを得ているという話を見て、同じ商品をそのまま購入することには注意が必要です。債券は発行時期、償還期限、通貨、購入価格、劣後条項、期限前償還条項などによって、実際の利回りやリスクが異なります。発行企業の名前が同じでも、条件が違えば別の商品と考える必要があります。
また、表示される利率が高くても、購入価格が額面を上回っていれば、満期まで保有した場合の最終利回りは表面利率より低くなることがあります。投資判断では、クーポンの数字だけではなく、最終利回り、残存期間、格付け、流動性を総合的に確認することが欠かせません。
若くして資産を築いたこーくん、次の焦点は「守る運用」へ
28歳で約2億円の資産を形成し、年間約720万円の利息収入を確保したというこーくんの告白は、YouTuberの成功談として大きな注目を集めそうです。同時に、変動の激しい職業で得た収入を、長期的な資産収入へ置き換えるという現実的な戦略も浮かび上がりました。
物欲を抑え、収入が増えても支出を膨らませず、まとまった金融資産を形成したことは、FIREを目指すうえで再現性のある考え方です。一方で、短期間に約2億円の元本を築けた背景には、人気YouTuberとして大きな収入を得られたという特殊な条件があります。一般の投資家が同じ期間と金額をそのまま再現できるわけではありません。
今後の注目点は、資産を増やす段階から、どのように守りながら長期的な収入を確保していくかです。社債の満期分散、発行体の信用管理、円とドルの通貨配分、インフレへの対応、新規事業へ投じる資金の上限設定などが、資産を維持するうえで重要になります。
こーくんの事例は、FIREが単に「仕事を辞めること」ではなく、将来への不安を資産形成によって小さくし、仕事を自分で選択できる状態を作ることであると示しています。高収入を得ること以上に、その収入をいかに残し、働く資産へ変えるか。この点こそが、投資家にとって最も参考になる部分といえるでしょう。
なお、本記事は、投資判断の参考情報として提供するものであり、特定の株式売買を推奨するものではありません。投資の最終ご判断はあくまで自己責任でお願いいたします。

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