キオクシア株が続伸、6万1840円まで上昇
2026年8月17日の東京株式市場で、キオクシアホールディングス(東証プライム、証券コード285A)の株価が続伸しました。終値は、前週末比8,100円、率にして15.07%高となる6万1840円まで買われ、7月27日以来、およそ3週間ぶりの高値を付けました。この日の東証プライム値上がり率ランキングで4位にランクイン。
▼キオクシア株価推移(2026年8月12日~17日)

キオクシア株価推移(2026年8月12日~17日)
この日の東京市場では、前週末の米国株市場で主要株価指数が下落したにもかかわらず、人工知能(AI)や半導体に関連する主力銘柄への買いが継続しました。アドバンテストや東京エレクトロンなどが日経平均株価を支えるなか、キオクシアもAI関連のデータセンター投資拡大から恩恵を受ける銘柄として、投資家の関心を集めました。
キオクシアの上昇を直接的に後押ししたのは、フラッシュメモリーを共同開発・生産している米サンディスクの株価上昇です。ただし、今回の買いは単なる米国株高への連想にとどまりません。サンディスクが示した長期的な収益成長シナリオを通じて、NAND型フラッシュメモリー市場の構造的な成長可能性が改めて意識されたことが、キオクシアの企業価値を見直す動きにつながっています。
少し前まで株価急落ぶりが世間をザワつかせていたキオクシアですが、最近息を吹き返してきましたね。株価復活の理由について、以下にて詳しく見ていきましょう。
最大の上昇材料は米サンディスクの強気な長期見通し
前週末14日の米国株市場では、サンディスク株が前日比で7%を超える大幅上昇となりました。サンディスクが投資家向け説明会で示した中長期的な収益見通しに対して、証券会社のアナリストから高い評価が相次いだためです。
▼サンディスク株価推移(2026年8月12日~14日)

サンディスク株価推移(2026年8月12日~14日)
サンディスクは、AIの普及によってNAND型フラッシュメモリーの需要構造が大きく変わるとの見方を示しました。特に、AIデータセンターで使用される大容量ストレージやエンタープライズ向けSSDの需要増加が、中長期的な成長を支えると期待されています。市場では、サンディスクが単に市況変動の影響を受けやすいメモリーメーカーではなく、AIインフラを構成する重要企業へ変化しつつあるとの評価が強まりました。
投資家向け説明会後には、JPモルガンがサンディスクの投資判断を「オーバーウエート」として調査を再開したほか、複数のアナリストが同社の成長力を前向きに評価しました。サンディスクだけでなく、米ウエスタンデジタルやシーゲイト・テクノロジーなど、メモリー・ストレージ関連銘柄にも買いが広がりました。
こうした米国市場の動きを受け、東京市場ではサンディスクと密接な事業関係を持つキオクシアへの連想買いが入りました。両社は四日市工場などで長年にわたってNAND型フラッシュメモリーを共同開発・生産しており、サンディスクの需要見通しや収益性に対する評価改善は、キオクシアの事業環境にもプラスに働くとみられています。両社が四日市工場の共同事業契約を2034年末まで延長したことも、中長期的な生産協力関係の安定性を示す材料です。
AIの「学習」から「推論」へ、NAND需要の裾野が拡大
今回の株価上昇を考えるうえで重要なキーワードが、AIの「推論」です。AI市場ではこれまで、生成AIモデルを構築するための「学習」に必要なGPUやHBMなどの高性能半導体が特に注目されてきました。しかし、学習済みのAIを実際のサービスや業務で動かす推論処理が増えるにつれて、膨大なデータを効率的に保存し、必要に応じて読み出すストレージの重要性も高まっています。
大規模言語モデルでは、回答を生成する過程で「KVキャッシュ」と呼ばれる一時データが発生します。従来は高速なDRAMなどで処理する場面が中心でしたが、AIモデルの大型化と利用者数の増加に伴い、より低コストで大容量のNAND型フラッシュメモリーを活用する余地が広がっています。NANDを組み込んだエンタープライズSSDがAI推論基盤で果たす役割が拡大すれば、データセンター向けメモリー需要は一段と厚みを増す可能性があります。
キオクシアはNAND型フラッシュメモリーとSSDを主力事業としており、スマートフォンやパソコンなどの従来市場に加え、データセンターや生成AIシステム向けの需要拡大が成長機会となります。AI関連需要がGPUやHBMだけでなく、データを保存するNANDやSSDにも波及するとの認識が広がったことで、同社株をAIインフラ関連銘柄として評価し直す動きが強まりました。
岩井コスモ証券の斎藤和嘉シニアアナリストは、サンディスクが顧客との長期供給契約を活用することで、市況悪化のリスクを抑えながら成長の恩恵を安定的に得る見通しが鮮明になったと指摘しています。こうした契約の広がりは、NAND市場特有の大きな価格変動を和らげ、将来収益の予測可能性を高める材料になります。
長期供給契約がメモリー企業の収益構造を変える可能性
NAND型フラッシュメモリーは、需給の変化によって販売価格が大きく動きやすい製品です。需要が旺盛な局面では価格上昇によってメーカーの利益が急拡大する一方、供給過剰になると価格が下落し、業績が急速に悪化することがあります。この強い市況循環が、メモリー企業の株価評価を抑える要因となってきました。
しかし、サンディスクが顧客との複数年契約を増やし、将来の生産能力の一部を長期契約で確保する方針を示したことで、業界の収益構造が変わる可能性が意識されています。需要家にとっては必要なメモリーを安定的に調達でき、メーカーにとっては販売量や価格の見通しを立てやすくなります。
サンディスクと共同生産を行うキオクシアにとっても、NAND市場の長期契約化とAIデータセンター向け需要の拡大は重要です。共同開発や設備投資を通じて両社の事業は深く結び付いているため、サンディスクが示した安定成長シナリオは、キオクシアの収益に対する投資家の不安を和らげる効果を持ちます。
もっとも、サンディスクの見通しがそのままキオクシアの業績を保証するわけではありません。顧客構成や製品構成、販売条件、設備投資負担などには違いがあります。それでも、共同生産パートナーが強い需要見通しを示したことは、キオクシアの中長期的な成長力を判断するうえで有力な外部材料となっています。
8000億円規模の自社株買い完了後も買いが続いた意味
キオクシアは8月10日、7月31日の取締役会決議に基づく自己株式の取得を終了したと発表しました。取得株式数は1613万3500株、取得総額は7999億9768万9000円で、当初設定した8000億円の上限にほぼ達しました。
◎関連記事:キオクシア、8,000億円の自社株買いをわずか6営業日で終了 「会社の買い」消失後に問われる株価の地力
自社株買いは市場にある株式を企業自身が買い付けるため、短期的には需給を引き締め、1株当たりの価値を押し上げる効果が期待されます。このため、市場の一部では、自社株買いの終了によって強力な買い手がいなくなり、株式需給の改善期待が後退するのではないかとの警戒もありました。
それにもかかわらず、キオクシア株が再び上昇したことは注目に値します。今回の値上がりは、自社株買いによる機械的な需給効果だけではなく、米メモリー関連株の上昇やAI推論需要、NAND市況の中長期的な改善期待といった事業面の材料によって支えられたと考えられるためです。
自社株買いという短期的な株価対策が終了した後も買いが入るのであれば、投資家の視線が需給要因から将来の利益成長へ移り始めた可能性があります。特に、短期筋だけではなく中長期の成長性を重視する投資家が参入すれば、株価の下値を支える要因になり得ます。
日本株全体の好地合いもキオクシアを後押し
17日午前の日経平均株価は、前週末比7円高の6万8721円で取引を終えました。上昇幅は小幅にとどまりましたが、米国株安を受けてもAI・半導体関連株への買いが続き、日本株市場の底堅さが示されました。東証株価指数(TOPIX)も朝方に前週末の最高値を一時上回っています。
2026年4~6月期決算では幅広い業種で業績の上振れが確認され、日本企業の利益成長に対する期待が高まっています。JPモルガン証券は幅広い業種で業績が上振れしたことなどを理由に、2026年末のTOPIX目標を従来の4400から4600へ引き上げました。日本株には過剰な持ち高形成や極端な割高感がみられないとして、海外投資家を含む資金流入への期待もあります。
一方、内閣府が17日に発表した2026年4~6月期の実質国内総生産(GDP)速報値は前期比年率1.1%増となり、市場予想の2.2%増を下回りました。個人消費や設備投資など、実体経済の需要には弱さも残っています。
ただし、名目GDPは年率換算で4.8%増となり、実額は687兆7182億円まで拡大しました。物価上昇を伴う名目経済の拡大は、売上高や企業利益の押し上げにつながりやすく、株式市場にとっては追い風になる面があります。こうした「実体経済には弱さがある一方、企業収益と株価は強い」という相場環境も、キオクシアを含む好業績・成長期待銘柄への資金流入を支えています。
テクニカル面では25日移動平均線の突破が焦点
キオクシア株は、6月22日に付けた11万2700円をピークに調整が続き、7月30日には3万6020円まで下落しました。その後は反発に転じ、足元では25日移動平均線を捉える展開となっています。
17日の高値である5万6930円は、5万5000~5万6000円台に位置する25日移動平均線を上回る水準です。終値ベースで同線を明確に突破し、その後も上回った状態を維持できれば、短期的な戻りにとどまらず、調整トレンドからの転換を意識する投資家が増える可能性があります。
次の上値の目安としては、6万4960円近辺の75日移動平均線が意識されます。一方で、現時点では6月高値からの下落幅に対するリバウンド局面とみることもできます。25日移動平均線付近で再び押し戻される場合には、戻り売り圧力の強さが確認される可能性があります。出来高を伴って上値抵抗を突破できるかが、今後の重要な確認点です。
投資家が確認したい今後のポイント
今後のキオクシア株を考えるうえでは、まずNAND型フラッシュメモリーの需給と販売価格が重要になります。AI向け需要が拡大しても、生産能力の急増によって供給過剰になれば、市況が悪化する可能性があります。各社の設備投資計画や在庫水準、平均販売価格の動向を継続的に確認する必要があります。
AI推論向けSSDが実際にどの程度の売上高と利益を生み出すかも焦点です。AI関連というテーマ性だけではなく、データセンター向け製品の出荷量、製品構成の改善、利益率への寄与が決算数値に表れるかどうかが問われます。
サンディスクとの共同事業については、技術開発や量産投資の効率化というメリットがある一方、投資負担や需要予測のずれには注意が必要です。両社の長期的な協力関係は競争力を支えるものの、NAND市場には韓国や米国の大手メーカーも存在し、技術開発競争は今後も続きます。
また、キオクシア株は短期間で大きく上昇・下落しており、値動きの大きさにも注意が必要です。AI需要やメモリー市況への期待が先行して株価が上昇した場合、決算や市況データが期待に届かなければ、利益確定売りが強まる可能性があります。長期的な成長ストーリーと短期的な株価変動を分けて判断する姿勢が求められます。
まとめ――連想買いから業績成長を見極める段階へ
キオクシア株が上昇している主な理由は、米サンディスクの強気な長期収益見通しと株価急騰を受け、同社と共同でNAND型フラッシュメモリーを開発・生産するキオクシアにも成長期待が波及したためです。AIの利用が学習段階から推論段階へ広がることで、大容量かつ低コストのストレージ需要が増加するとの見方も、キオクシアの評価を押し上げています。
さらに、最大8000億円規模の自社株買いが完了した後も株価が上昇したことは、投資家の関心が短期的な株式需給から、中長期の利益成長へ移りつつある可能性を示しています。日本株市場におけるAI・半導体関連株への資金流入や、企業業績全体の底堅さも追い風となりました。
一方で、NAND市場には強い市況循環があり、AI需要への期待がそのまま継続的な利益成長につながるとは限りません。株価は25日移動平均線を上回りつつありますが、6月高値から見ればなお調整後の戻り局面です。投資家にとっては、AI推論向け需要、NAND価格、長期供給契約、データセンター向けSSDの収益寄与を確認しながら、今回の上昇が本格的な再評価局面へ発展するかを見極めることが重要です。
なお、本記事は、投資判断の参考情報として提供するものであり、特定の株式売買を推奨するものではありません。投資の最終ご判断はあくまで自己責任でお願いいたします。

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【Dear Overseas Investors: Summary in English】
Why Is Kioxia’s Share Price Rising? SanDisk’s Rally and AI Inference Demand Lift the Outlook
Shares of Kioxia Holdings Corporation rose sharply in Tokyo on August 17, 2026, climbing as much as 5.93% to ¥56,930. The move was driven primarily by a continued rally in U.S. memory and storage stocks, particularly SanDisk, Kioxia’s long-standing NAND flash development and manufacturing partner.
SanDisk attracted strong buying after presenting an optimistic long-term financial outlook at its investor day. Analysts responded positively to the company’s growth strategy, including greater use of multiyear customer agreements intended to reduce exposure to memory-market downturns and improve earnings visibility.
Investors are also focusing on the expanding use of NAND flash memory in AI inference infrastructure. As large-scale AI services generate growing volumes of data and KV cache, enterprise SSDs may provide a more cost-effective storage solution than relying exclusively on expensive high-speed memory. This trend could broaden AI-related demand beyond GPUs and HBM to NAND flash and data-center SSDs.
Kioxia’s rally is notable because the company had already completed a share repurchase worth nearly ¥800 billion. Continued buying after the program ended suggests that investors may be shifting their attention from short-term supply-and-demand support to Kioxia’s longer-term earnings potential.
From a technical perspective, the shares have moved above their 25-day moving average. A sustained breakout could bring the 75-day moving average near ¥64,960 into focus. However, NAND pricing remains cyclical, and investors should continue monitoring supply growth, average selling prices, AI-related SSD shipments and profitability.
Disclaimer: This article is provided for informational purposes only and should not be construed as a recommendation to buy or sell any specific securities. Please make investment decisions at your own discretion.





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