AI時代の追い風で急成長 経営陣「ビジネスモデルは大きく変化」
キオクシアホールディングスは6月25日、定時株主総会を東京渋谷のベルサール渋谷ファースト 地下1階ホールにて開催し、AI(人工知能)市場の急拡大を背景とした今後の成長戦略や株主還元策について説明しました。
太田裕雄社長は、同社がこの1年で大きく変貌を遂げたことに触れ、「これまでと明らかに違うビジネスモデルへの変化が成就してきた」と自信を示しました。
キオクシアは生成AIブームを背景に高性能メモリーの需要を取り込み、業績・企業価値ともに急拡大しています。株式時価総額は上場から約1年半で国内首位に躍り出るなど、市場からの評価も急速に高まっています。
2026年3月期の連結純利益は5,544億円と前期比で約2倍に拡大しました。会社側は2027年3月期の業績予想を公表していないものの、市場予想(QUICKコンセンサス)では前期を大幅に上回る利益成長が期待されており、AI関連需要の拡大が引き続き業績を押し上げるとの見方が広がっています。
AI需要は「まだまだ強い」 ハイパースケーラーとの長期契約が拡大
株主からは、現在好調なメモリー市況が今後も続くのかとの質問が寄せられました。
これに対し太田社長は、米国のハイパースケーラー(大規模クラウド事業者)との長期契約が増加していることを明らかにした上で、「エージェント型AIやフィジカルAIによってAI活用はさらに進化する。まだまだ強い需要が続く」と説明しました。
生成AIだけでなく、自律的に判断・行動するエージェントAIや、ロボットなど実世界と連携するフィジカルAIの普及まで視野に入れた発言となり、中長期的にも高性能NANDフラッシュメモリーの需要拡大に強い自信を示した格好です。
AIインフラ投資の拡大が続くなか、同社は世界的なメモリー需要増加の恩恵を引き続き享受できるとの見通しを示しました。
株式分割を検討 「近々発表できると思う」
今回の株主総会で特に投資家の関心を集めたのが株式分割に関する発言です。
河村芳彦副社長(財務統括責任者)は、株価高騰を受けて株式分割を検討していることを明らかにしました。
現在、同社株は10万円前後で推移しており、売買単位が100株であることから最低投資金額は1,000万円を超えています。
河村副社長は、「まだ正式には何も決めていないが検討している」とした上で、「適正な価格になるように分割し、より多くの皆さまに株式を購入いただき、会社の発展を一緒に支えていただきたい。近々どこかで発表できると思う」と述べました。
足元では株価が一時10万6,000円台まで上昇しており、個人投資家が参加しやすい環境整備を進める考えを示したことで、株式分割実施への期待が一段と高まりそうです。
累進配当導入へ 「大胆な株主還元」を表明
株主還元についても前向きな姿勢が示されました。
キオクシアは、配当を増配するか最低でも維持する「累進配当」の導入を公表しており、早ければ2027年3月期から開始する方針です。
河村副社長は「前向きに、大胆に還元していきたい」と述べ、今後の利益成長を背景に積極的な株主還元を進める考えを改めて強調しました。
成長投資を継続しながらも株主への利益還元を重視する姿勢を鮮明にしたことで、中長期投資家からの評価も高まりそうです。
米国市場へのADS上場を計画 グローバル投資家との接点拡大へ
海外展開についても具体的なスケジュールが示されました。
河村副社長は、普通株式を対象とした米国預託株式(ADS)の米国市場への上場について、「2027年4月から6月頃のタイミングで実現したい」と説明しました。
ADS上場が実現すれば、米国資本市場との接点が強まり、株価の安定や将来的な大型資金調達が容易になることが期待されます。
同氏は「米国市場へのリンクができることで株価も安定する。将来、大きな資本調達が必要になった場合にも米国市場から調達できる非常に意義のあるプロジェクトだ」と語り、全力で準備を進めていることを明らかにしました。
ベインとの関係は継続 株主構成は変化
株主総会では、主要株主である米投資ファンドのベイン・キャピタルとの関係についても質問が出ました。
太田社長は、「これまでベインには取締役という立場でさまざまなアドバイスをいただいてきた。今後についてもベインと話しながら、どういう形で進めていくか考えていきたい」と述べ、引き続き連携していく考えを示しました。
今回の総会では、ベイン・キャピタルの日本代表である杉本勇次氏、日本プライベート・エクイティ共同責任者の末包昌司氏が取締役に再任されたほか、取締役会長のステイシー・スミス氏、社外取締役のマイケル・スプリンター氏も再任されました。
また、新たに社外取締役として東恵美子氏が就任し、取締役は7人体制となりました。東氏は米国投資銀行などで半導体やハイテク企業のM&Aに携わった経験を持ち、直近では武田薬品工業の社外取締役も務めていました。
一方で株主構成には変化がみられています。ベイン・キャピタルの保有比率は1年前の5割超から約2割へ低下し、東芝の持株比率も30.5%から17.59%へ縮小しました。経営への関与は維持しつつも、株主の裾野は着実に広がっています。
株主数は13万人超へ拡大 今後の成長期待が一段と高まる
キオクシアの株主数は13万人を超え、前年から約6割増加しました。海外ETFなどからの資金流入も進み、国内外の機関投資家・個人投資家双方から高い注目を集めています。
今回の株主総会では、取締役選任や役員報酬制度改定など計9議案がすべて承認されました。
AI市場の拡大を追い風とした力強い業績成長に加え、株式分割の検討、累進配当の導入、米国市場へのADS上場など、株主価値向上につながる施策が相次いで打ち出されたことで、同社の成長ストーリーは新たな段階に入ろうとしています。
今後は、世界的なAI投資の拡大を確実に業績へ結び付けるとともに、多様化する株主の期待に応え続けられるかが、さらなる企業価値向上の鍵となりそうです。
なお、本記事は、投資判断の参考情報として提供するものであり、特定の株式売買を推奨するものではありません。投資の最終ご判断はあくまで自己責任でお願いいたします。

STOCK EXPRESS車掌 SHUN
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【Dear Overseas Investors: Summary in English】
Kioxia Signals Stock Split, U.S. Listing and Strong AI Demand at Shareholders Meeting
Kioxia Holdings told shareholders on June 25 that it remains confident in long-term growth driven by booming AI demand, while signaling plans to improve shareholder value through a potential stock split, progressive dividends, and a U.S. listing.
President Hiroo Ota said the company’s business model has fundamentally changed, supported by long-term contracts with major cloud providers. He expects demand for memory chips to remain strong as AI evolves into agentic AI and physical AI applications.
CFO Yoshihiko Kawamura revealed that Kioxia is considering a stock split, noting that the current share price of around ¥100,000 requires more than ¥10 million for a minimum investment. He said an announcement could come “soon.”
The company also plans to introduce a progressive dividend policy as early as FY2027 and is targeting an ADR listing in the U.S. around April–June 2027, aiming to broaden its investor base, enhance share price stability, and strengthen access to U.S. capital markets.
Kioxia has become Japan’s largest listed company by market capitalization amid the global AI investment boom. Its net profit doubled in FY2026, while the shareholder base expanded by more than 60% to over 130,000 investors. The company now faces growing expectations to sustain its rapid earnings growth and deliver long-term shareholder returns.
Disclaimer: This article is provided for informational purposes only and should not be construed as a recommendation to buy or sell any specific securities. Please make investment decisions at your own discretion.





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