総合商社大手の伊藤忠商事株式会社(8001)は本日11月5日、2026年3月期第2四半期(2025年4月~9月)の連結決算を発表しました。株主に帰属する中間純利益は5,002億円(前年同期比14.1%増)と、前年に続き堅調な増益を確保しました。そして、株主還元策も強化し、株式5分割と増配で投資家層拡大を狙う方向性も明らかになりました。この発表を受け、株価は高騰。伊藤忠の株価は、5日の終値は9,287円にまで上昇し前日比3.55%増となりました。時価総額も14兆7189億円となり、三菱商事を抜いて総合商社トップに達しました。
▼伊藤忠商事 株価推移(2025年11月4日〜5日)

伊藤忠商事 株価推移(2025年11月4日〜5日)
収益動向:収益微減も、利益率改善で底堅い推移
連結収益は7兆2,492億円(同0.6%減)とわずかに減少しましたが、売上総利益は1兆2,096億円(同3.7%増)**となり、利益率の改善が見られました。
特に、繊維事業、情報・金融関連、第8カンパニー(ICTや物流など)が好調に推移し、金属や住生活分野の減益を補いました。
有価証券売却益では、C.P. Pokphandや仏PROVENCE HUILESの売却などが寄与し、前年同期比で1311億円増の1,360億円を計上しました。
営業利益は3,541億円(同3.4%減)となったものの、税引前利益は6,619億円(同9.9%増)と全体では増益を確保しました。
各セグメントの動向
セグメント別では、
・食料カンパニーが堅調で、収益2兆5,958億円・中間純利益539億円と主力事業として業績を牽引。
・繊維カンパニーは高付加価値商品の拡販が奏功し、純利益241億円(前年同期比約2倍)と大幅増益。
・金属・エネルギー分野は資源価格の下落や市況軟化の影響を受け減益でしたが、依然として安定的な収益源を維持しました。
また、カワサキモータースの取得による事業ポートフォリオ拡充が総資産増加(前期末比4,517億円増)に寄与しています。
財務体質の強化と安定したキャッシュフロー
総資産は15兆5,859億円(同3.0%増)、株主資本比率は38.9%(前期比0.9ポイント上昇)と、財務基盤の強化が進みました。
営業活動によるキャッシュ・フローは6,092億円(前年同期比5.3%増)と堅調で、配当金支払や自己株式取得後も現金残高は5,835億円と高水準を維持しています。
株主還元策:5分割と増配で投資家層拡大へ
伊藤忠商事は、2026年1月1日を効力発生日として、普通株1株を5株に分割することを決定しました。この株式分割により、投資単位当たりの金額を引き下げ、投資家の裾野拡大と株式流動性の向上を図る方針です。
また、年間配当予想を従来の200円から実質210円へ増配(分割後換算で期末配当22円)することを発表しており、株主還元の一層の充実が期待されます。
通期見通しと今後の展望
2026年3月期通期では、当社株主に帰属する純利益9,000億円(前年比2.2%増)を見込んでいます。金属やエネルギー分野の市況変動リスクを抱えつつも、非資源分野の拡大と安定したキャッシュ創出力により、安定成長の持続を目指す姿勢を示しました。
伊藤忠商事は、「非資源×グローバル」を軸とした事業ポートフォリオの拡充を進め、堅実な経営基盤と株主還元強化を両立させています。
中間期の好調な利益成長と増配、さらに株式分割による市場流動性の向上を受けて、同社の株式は中長期的に安定的な投資対象として注目される局面です。
なお、本記事は、投資判断の参考情報として提供するものであり、特定の株式売買を推奨するものではありません。投資の最終ご判断はあくまで自己責任でお願いいたします。

STOCK EXPRESS車掌 SHUN
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