日本中を熱狂させた「兵庫県知事選挙」。先週の日曜日 11月17日、失職していた斎藤元彦(さいとう もとひこ)氏が圧勝してから約1週間が経ち、再び慌ただしくなってきました。
私は今回の「兵庫県知事選挙」があまりにドラマティックなので、11月10日の記事でも書いたように注目しておりました。「令和の忠臣蔵」と名付けたくなるようなストーリー展開だな、と。マスメディアや既得権益者から徹底的に攻められた斎藤元彦氏が、民衆を巻き込んで立ち向かっていく姿は、日本人が好む反撃の時代劇「忠臣蔵」のようだな、と感じたのです。結果的に斎藤氏が見事当選。私は、この兵庫県知事選挙をドラマに見立てれば、この勝利までが「第1章」。斎藤氏が兵庫県知事に復帰してから「第2章」とも呼べるような展開が繰り広げられると予想していました。その展開とは、かつて斎藤氏に不信任決議を突きつけた議員達とのせめぎあい。そして、かつて一方的に攻められていた斎藤氏が、疑惑を晴らし、既得権益を守りたがっていた議員の誤っていた点を正していくような展開になるのではないか、と。
ところが、「第2章」は意外なところから始まりました。
きっかけとなったのは、西宮市のPR会社「株式会社merchu (メルチュ)」の折田楓氏という女性社長が、11月20日に「note」に投稿した記事。私にも当日、X(旧Twitter)で”おすすめ投稿”として、折田楓氏のものが表示されたので、リンク先に飛んでみました。「兵庫県知事選における戦略的広報」と題された記事を読んでみて、私が驚いたのは、そこに今回の兵庫県知事選挙での広報戦略を説明した資料がそのまま掲載されていたこと。
まず思ったのは、「やはり、外注のPR会社がついていたのか」ということ。11月10日の記事で書いたように、私は「斎藤氏がXで投稿する写真の構図が上手いな」と感じていて、斎藤氏のボランティアのお友達にこんなにセンスの良い人がいるのかな、と思っていたのです。投稿内容自体は極めて素朴でシンプルなものなので、”プロ感”は出ていなかったですが。
こうして選挙終了直後に折田さんが自慢話のような投稿をしてしまったことは、広報としてミスってる気がします。そもそも、優れた広報とは、ムーブメントを創りつつも自分の存在は隠し、”花”をファンの皆様に持たせてあげるものだとも思います。それに、今回の選挙の盛り上がりへの寄与度は、折田さんの要素はすくなかったと思います。。
さらに、そもそも「たった一人で奮闘している斎藤元彦」というストーリー設定が崩れてしまうな…ということも感じました。それも、そのストーリー設定をしているはずのPR会社が自ら崩してしまうのか、と。コントのような展開です。
そして、「こんな内輪の話をそのまま出してしまって良いの?」と思いました。あまりに堂々と出されていたので、斎藤氏の確認も取っているのかなとその時は思いましたが。今振り返ってみれば、確認を取れば確実に断られるでしょうから、声もかけずに公開してしまったのでしょう。
さらに思ったのは、「これって公職選挙法に違反しないのかな?」ということ。有償で選挙公報を請け負ったのであれば、法に抵触する範囲ではないかと。昨年4月の東京 江東区長選挙をめぐって柿沢未途元衆議院議員に有罪判決が出たことは記憶に新しいところです。対価を支払って選挙運動をさせることが認められてしまえば、お金持ちだけに有利になってしまいますから、当然の法規制でしょう。
11月20日はSNSやマスメディアのニュース界隈も静かでしたが、21日あたりからザワザワしはじめ、昨日22日はまさに大炎上。炎が燃え盛り始め、今日に至るまで炎が大きくなり続けている感じです。
私が思うのは、折田氏は斎藤氏が当選したことの嬉しさのあまり、投稿してしまったのかなと。決して悪気はなかったと。本人なりに かなり忙しかったでしょうし、達成感を感じ、さらには、自慢したい気持ちもあったと思います。
ただ、私は今回の「兵庫県知事選挙」の一番の主役は、兵庫県民だったと思うのです。確かに折田氏の手掛けた斎藤氏のプロフィール写真は爽やかでイメージの良いものでしたが、それは最低限必要な素材を用意したという役割にとどまっています。また、立花孝志氏の登場は、この選挙の大きなターニングポイントになったと思います。しかし、立花氏は、あくまで「一方的なマスメディアからの斎藤氏への批判」に問題を提起したのであり、兵庫県民を始め全国の人達の気持ちを一旦リセットして、冷静に考える余地を与えた点に意義があった。結果的に判断したのは、兵庫県民だったのではないでしょうか。そして、当選直前のあの熱狂。あれは、決して折田氏の広報戦略の影響でもなければ、立花氏のパフォーマンスだけでなく、兵庫県民が自ら考えて応援したことの結集だったと。
今回の折田氏の件で最も残念な気持ちになっているのは、兵庫県民の皆様ではないでしょうか?せっかく自分ごととして心から斎藤氏を応援し、これからは県知事としての斎藤氏の活躍のもとで自身の暮らしも向上させられるかもしれない。そんな明るい気持ちになっていた方は多いと思います。折田氏が自慢げに投稿してしまったことによって、そんな県民の皆様の真心を冷めさせてしまった。
今後、公職選挙法違反の判決が出れば、斎藤氏の当選は無効になってしまい、せっかくの勝利が水の泡になってしまいます。兵庫県民のためを思って進めていた施策も頓挫してしまうかもしれません。
前述した、東京 江東区長選挙をめぐる柿沢未途元衆議院議員の公職選挙法違反の際は、懲役2年 執行猶予5年の判決が出ました。さらに、柿沢元議員は5年間、すべての選挙に立候補できなくなっているのです。もし、今回の件で斎藤氏が失職すれば、兵庫県知事選挙はもう一度やり直しになってしまいますし、その選挙には斎藤氏は出られません。。
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ここからは想像ですが、今回の折田氏の仕事の件、おそらく、斎藤氏は当初、ポスター作成を依頼したのがきっかけだったのではないでしょうか?そして、イメージの良い写真を撮り、その写真をポスターだけでなく、SNSのプロフィール写真にも使う話になり、折田氏得意のSNS運用の話の提案にまで発展していったのかな、と。
今となっては”たられば論”ですが、斎藤氏が折田氏に仕事を依頼する際、”SNSでの選挙応援までは断らなかったのか”とか、”守秘義務契約を交わさなかったのか”とか、”確認もせずに資料を公開しないような関係性を作っておかなかったのか”、、などなど思うところはたくさんあります。もし斎藤氏にブレーンがいれば、そういうところまで気を配り、折田氏のような軽率な行動がないようにできたかもしれません。
そういう意味で、やはり、斎藤氏はたった一人で戦っていたといえるのかもしれませんね。
希望的観測として、下記ロジックが通れば、斎藤氏が失職せずにすむかもしれません。
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・斎藤氏は折田氏にポスター制作や写真撮影を依頼した。
・折田氏は斎藤氏の良い写真を撮るために選挙活動にも同席。お手伝いに関しては、自発的に無償で行った。
・折田氏がnoteで発信した内容は、自己PRのために盛った内容であった。
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果たしてどんな展開となるか… 見守っていきたいと思います。
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