本田技研工業株式会社(ホンダ/7267)が5月14日13:25(後場の場中)に発表した「2026年3月期連結決算」(IFRS)は、最終損益が4239億円の赤字となり、1957年の東京証券取引所上場以来、初の最終赤字となりました。前期は8358億円の黒字だっただけに、市場に与えたインパクトは大きくなっています。一方で、「2027年3月期」は2600億円の黒字回復を見込んでおり、電気自動車(EV)戦略の抜本見直しを経て、収益体質の再構築を急ぐ姿勢を鮮明にしました。
決算発表後、東京株式市場では「最悪期を通過した」との見方が広がり、ホンダ株は一時前日比9%高の1383円まで急騰しました。終値も1320円と前日比3.77%高で取引を終えています。
▼ホンダ株価推移(2026年5月14日)

決算発表があった13:25直後のタイミングで株価が一気に上昇していますよね。
今回の決算は、EV市場の急減速と北米戦略の再編が、ホンダ経営に大きな影響を与えたことを浮き彫りにする内容となりました。発表内容について、以下にて詳しく見ていきましょう!!
EV戦略転換が業績を直撃、営業赤字4143億円に
2026年3月期の売上収益は21兆7966億円と前期比0.5%増を確保したものの、営業損益は4143億円の赤字に転落しました。税引前損益も4033億円の赤字、親会社株主に帰属する最終損益は4239億円の赤字となっています。
業績悪化の主因となったのは、EV関連損失の計上です。ホンダは北米で開発していたEV3車種の開発・販売中止を決定し、それに伴う減損損失や部品メーカーへの補償費用などを含め、総額1兆5778億円の損失を計上しました。
決算資料によると、このうち製造設備などの減損損失が5213億円、開発資産の除却損失が3314億円、取引先補償などの引当金が6673億円にのぼっています。
ホンダは決算資料の中で、「米国ではEV補助金見直しや化石燃料規制緩和などによりEV市場拡大のスピードが鈍化している」と説明しています。中国市場でも新興EVメーカーとの競争激化が進んでおり、従来描いていたEV戦略の前提条件が大きく変化したことを認めました。
「EV損失を除けば黒字」 本業の収益力は維持
もっとも、市場では今回の赤字を「構造的危機」と見る向きは限定的です。会社側は、EV関連損失を除いた“調整後利益”も公表しており、それによると営業利益は1兆393億円、最終利益は7955億円と、依然として高水準の収益力を維持しています。
特に収益を支えたのが二輪事業です。2026年3月期の二輪販売台数は2210万台と前年から152万台以上増加しました。アジアを中心に需要が拡大し、二輪事業の営業利益は7319億円まで拡大しています。一方、四輪事業はEV関連損失が直撃し、1兆4111億円の営業赤字となりました。
ホンダの三部敏宏社長は決算説明会で、「BEV(バッテリーEV)を取り巻く事業環境が急変する中、迅速に投資の再整理を行った」と説明しました。そのうえで、「引き続き高い財務の健全性を維持している」と強調しています。
実際、2026年3月末時点の現金及び現金同等物は5兆1184億円に達し、営業キャッシュフローも1兆1352億円の黒字を確保しています。
27年3月期は2600億円黒字予想、市場予想を大幅上回る
注目を集めたのは、2027年3月期の業績見通しです。
ホンダは次期の売上収益を23兆1500億円、営業利益を5000億円、最終利益を2600億円と予想しました。市場予想平均(QUICKコンセンサス)の356億円赤字を大きく上回る内容となり、投資家心理の改善につながっています。
来期もEV関連損失として5000億円規模を見込むものの、前期の1兆4536億円からは大幅に縮小する見通しです。調整後ベースでは営業利益1兆円、最終利益6200億円を見込んでおり、本業収益の回復シナリオを描いています。
会社側は業績回復の原動力として、北米でのハイブリッド車(HEV)販売強化と、インド・東南アジアを中心とした二輪販売拡大を挙げています。
四輪販売台数は339万台と微増を計画しており、二輪は2280万台とさらに拡大を見込んでいます。
北米HEV戦略へ軸足、「EV一本足打法」から転換
今回の決算で明確になったのは、ホンダが「EV一本足打法」から現実路線へ転換し始めたことです。
北米市場ではEV需要の伸び悩みが鮮明となる一方、HEV需要は底堅く推移しています。ホンダは今後、ガソリン車やHEVを含めた“マルチパス戦略”へシフトし、収益性重視へ舵を切ります。
為替前提も1ドル145円と、前期の151円より円高を想定する慎重な計画となっています。
もっとも、リスク要因はなお残っています。会社側は米国追加関税の影響が3469億円の減益要因になると説明しています。さらに、EV戦略見直しに伴う追加費用についても、「現時点で合理的な見積もりが困難」としており、追加損失発生の可能性を示唆しました。
投資家は「最悪出尽くし」を評価
市場では今回の決算について、「巨額赤字そのものより、不透明要因を一括処理した点」を評価する声が多く聞かれています。
特に、EV関連損失を一気に計上したことで、来期以降の収益改善が見えやすくなったことはポジティブ材料として受け止められています。加えて、二輪事業の高収益体質や、HEVを中心とした北米販売の強さも再評価されています。
ホンダは配当についても年間70円を維持する方針を示しました。業績不振による減配を懸念していた株主様も多かったと思いますので、この発表を受けて安心した方も多いのではないでしょうか。
EV市場の急変に翻弄されたホンダですが、今回の“痛みを伴う戦略転換”が、次世代の収益構造再構築につながるかどうかが、今後の最大の焦点となりそうです。
なお、本記事は、投資判断の参考情報として提供するものであり、特定の株式売買を推奨するものではありません。投資の最終ご判断はあくまで自己責任でお願いいたします。

STOCK EXPRESS車掌 SHUN
株主視点での経済ニュースサイト「STOCK EXPRESS」では、今後も最新情報を発信してまいります。
ぜひ、STOCK EXPRESS トップページをブックマークしてご購読くださいませ。
▼記事更新通知は 私のXにて♪
https://x.com/shun699
【Dear Overseas Investors: Summary in English】
Honda Posts First-Ever Net Loss After Massive EV Write-Down, Eyes Return to Profit in FY2027
Honda Motor reported its first annual net loss since listing on the Tokyo Stock Exchange in 1957, as the automaker booked massive losses tied to a major overhaul of its electric vehicle (EV) strategy.
For the fiscal year ended March 2026, Honda posted a net loss of 423.9 billion yen, compared with a profit of 835.8 billion yen a year earlier. Operating loss came in at 414.3 billion yen, despite revenue rising slightly to 21.8 trillion yen.
The weak result was driven by 1.58 trillion yen in EV-related losses, including impairment charges, canceled EV development projects in North America, and compensation costs to suppliers.
Honda said slowing EV demand in the U.S., changes in government incentives, and intensifying competition in China forced the company to reassess its electrification strategy.
Despite the headline loss, investors reacted positively after Honda forecast a return to profitability in fiscal 2027. The company expects net profit of 260 billion yen and operating profit of 500 billion yen next fiscal year, both well above market expectations.
Honda shares jumped as much as 9% after the earnings announcement.
The company said it will increasingly focus on hybrid vehicles (HEVs) and gasoline-powered models in North America while continuing to expand its highly profitable motorcycle business across Asia.
Honda expects motorcycle sales to rise to 22.8 million units in FY2027, reinforcing the segment’s role as a key earnings driver.
Management also emphasized that Honda’s financial position remains solid, supported by more than 5 trillion yen in cash and strong operating cash flow.
While the company still expects around 500 billion yen in additional EV-related losses next year, investors appear to believe the worst of the restructuring pain has already been recognized.
Disclaimer: This article is provided for informational purposes only and should not be construed as a recommendation to buy or sell any specific securities. Please make investment decisions at your own discretion.





コメント