2025年10月8日、データセクション株式会社(東証グロース:3905)の株価が急落しています。前場は1,900円台で始まったものの、後場には1,500円台まで下落。
▼データセクション株価推移(2025年10月8日)

データセクション株価推移(2025年10月8日)
10月4日の記事(データセクション株、KDDIの保有株売却発表で急落直後、大口受注IRで急騰へ)でお伝えしたように、KDDIによる持株売却に続き、日本生命による売却も明らかになり、さらには、空売りで知られる米調査会社ウルフパック・リサーチがデータセクション株に対してショートポジションを取っていると発表したのです。ここで先週からの動きをまとめて振り返ってみましょう。
KDDIの持株比率減少報告を受け株価急落も、大口受注発表で急反発
10月3日大引け後、KDDI株式会社(9433)が財務省に提出した「変更報告書(5%ルール報告)」で、データセクション株の保有比率が7.51%から6.17%に低下したことが明らかになりました。この報告を受けて株価は一時急落しましたが、その直後の17時05分に同社が発表した「大口受注に関するお知らせ」が市場の流れを一変させました。
発表によると、オーストラリア・シドニーでの第2号AIデータセンター案件において、世界最大級のクラウドサービスプロバイダーと大規模利用契約を締結。契約はナウナウジャパン株式会社を通じて行われ、NVIDIA製B200 GPUを1万個搭載した1,250台のサーバーを対象としています。年間契約金額は2億6,600万米ドル(約3,948億円)、契約期間は3年間で、最大5年間まで延長可能。総額では最大約1兆9,700億円規模に上る大型案件となります。
この発表を受けて、株価はPTS市場で急騰。一時2,300円を突破する場面も見られ、翌4日には2,150円前後での取引が続きました。
機関投資家の保有比率低下が相次ぐ
その後、10月6日付の報告では、KDDIの持株比率がさらに減り、5.08%から3.70%へ減少したことが判明しました。さらに、10月7日受付分の報告書では、日本生命が6.69%から0%へと持株を全て売却したことが明らかになり、市場には一時的な警戒感が広がりました。
大口受注による成長期待と、主要株主の持株比率低下という相反するニュースが交錯し、短期的な値動きの振れ幅が拡大しました。
ウルフパック・リサーチがショートポジションを公表、再び急落
そして、本日10月8日午後、空売りで知られる米調査会社ウルフパック・リサーチが、データセクション株に対してショートポジションを取っていると発表しました。
同社は、データセクションの唯一の主要顧客がテンセントであると主張し、NVIDIA製GPUの提供が米国法に抵触する可能性があると指摘しています。また、「同社のデータセンター顧客が中国企業であることは周知の事実」としており、日米当局に通報済みであると公表しました。
この報道を受け、株価は1,500円台まで急落し、前日比で10%を超える下げ幅となりました。
投資家視点:ボラティリティ高まる中、情報開示とリスク説明が焦点に
わずか数日の間に、ポジティブな受注ニュースと、複数のネガティブ要因が連続して発生したことにより、データセクション株は短期投資家による売買が活発化しています。
特に、海外ショートレポートの影響を受けるケースは過去にも複数あり、企業側の迅速な説明責任と透明性のある情報開示が今後の株価安定において鍵を握るとみられます。
投資家にとっては、短期的な値動きよりも、中長期的な事業基盤の確実性や契約履行の実態確認が重要な局面となっています。
今後の注目点
さてさて、大波乱の展開となってきたデータセクション株。今後は、ポジティブ要素としては、AIデータセンター案件の契約詳細および進捗報告に注目していくと同時に、ネガティブ要素としては、KDDI・日本生命以外の機関投資家も売却を進めていないかもチェックしていきたいところです。さらに、ウルフパック・リサーチの追加報告も気になるところ。株価ボラティリティの収束と投資家心理の安定化へ向かうのでしょうか、あるいはまだまだ波乱があるのでしょうか、見極めていきたいと思います。
なお、本記事は、投資判断の参考情報として提供するものであり、特定の株式売買を推奨するものではありません。投資の最終ご判断はあくまで自己責任でお願いいたします。

STOCK EXPRESS車掌 SHUN
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