株式会社サイバーエージェント<4751>は8月7日、「2026年9月期第3四半期累計(2025年10月~2026年6月)の連結決算」を発表しました。売上高は前年同期比12.2%増の7092億7200万円、営業利益は同38.2%増の674億4900万円、経常利益は同42.3%増の691億8200万円、親会社株主に帰属する最終利益は同49.5%増の360億3500万円となりました。
メディア&IP、インターネット広告、ゲームの主要3事業がそろって増収となり、特にABEMAの黒字化が進んだメディア&IP事業と、主力タイトルやカジュアルゲームが好調だったゲーム事業が全社利益を押し上げました。
好調な第3四半期累計決算を受け、同社は2026年9月期の通期業績予想を大幅に上方修正しました。従来は減益を想定していましたが、修正後は営業利益、経常利益、最終利益のすべてで前期比増益を見込んでいます。年間配当予想も従来の1株19円から20円へ引き上げました。
オンラインで開催した決算説明会で山内隆裕社長は、足元の業績について「社内で想定したよりも良い感触で推移した」と振り返りました。
決算期が9月30日のサイバーエージェント。今期の3Qがどのような内容だったのでしょうか。以下にて詳しく見ていきましょう!!
- 第3四半期累計は2桁増収、利益は4~5割増
- ABEMAが黒字化局面へ、メディア&IP事業の利益は88%増
- 広告事業は累計減益も、4~6月期は過去最高売上と2桁増益
- ゲーム事業は営業利益509億円、全社利益をけん引
- 「ホロドリ」は初日100万ダウンロード、今回の累計実績には未反映
- 投資育成事業は赤字拡大、全社業績への寄与は限定的
- 通期予想を大幅上方修正、減益予想から一転増益へ
- 年間配当は20円へ増額、前期比3円の増配
- 第4四半期に必要な利益は低水準、計画達成のハードルは高くない
- 投資家の注目は「利益の持続性」とIP戦略の成果へ
- 【Dear Overseas Investors: Summary in English】
第3四半期累計は2桁増収、利益は4~5割増
2026年9月期第3四半期累計の売上高は7092億7200万円となり、前年同期から12.2%増加しました。営業利益は674億4900万円と38.2%増、経常利益は691億8200万円と42.3%増、最終利益は360億3500万円と49.5%増加しています。
売上高の伸びを大きく上回る利益成長となったことが、今回の決算の最大の特徴です。営業利益率は約9.5%となり、前年同期の約7.7%から改善しました。ABEMAを中心とするメディア事業の収益構造が改善したほか、利益率の高いゲーム事業が大幅増益となったことが寄与しました。
一方、直近3カ月に当たる2026年4~6月期だけを見ると、連結売上高は前年同期比9.4%増の2306億8800万円と、第3四半期として過去最高を更新したものの、営業利益は同23.6%減の149億9000万円、経常利益は同21.5%減の152億6200万円でした。売上高営業利益率も前年同期の9.3%から6.5%へ低下しています。
したがって、累計決算は大幅な増益である一方、四半期単独では増益ペースが一服した格好です。ただし、メディア&IP事業ではABEMA開局10周年に伴う番組やイベントへの積極投資を実施しており、ゲーム事業でも前年同期の利益水準が高かったことから、単純な前年同期比較だけでは実態を捉えにくい面があります。
ABEMAが黒字化局面へ、メディア&IP事業の利益は88%増
メディア&IP事業の第3四半期累計売上高は前年同期比8.9%増の1839億3100万円、営業利益は同88.0%増の131億7800万円となりました。
同事業にはインターネットテレビ「ABEMA」、公営競技のインターネット投票サービス「WINTICKET」、アニメ&IP事業本部、映像制作を手掛けるサイピクなどが含まれています。各サービスが重層的に売上高を積み上げる構造が形成されつつあり、ABEMAの収益改善がセグメント利益を大きく押し上げました。
山内社長は、2026年4月に開局10周年を迎えたABEMAについて、周年記念の特別番組を含めて積極的なコンテンツ投資を行った四半期だったと説明しました。そのうえで、メディア&IP事業について「着実に利益を出せる状況になっております」と述べています。
4~6月期単独でも、同事業の売上高は前年同期比5.2%増の591億円、営業利益は同22.1%増の27億円となりました。開局10周年に合わせた積極投資を吸収しながら増益を確保したことは、ABEMAの事業基盤が従来より強固になっていることを示します。
ABEMAの週間利用者数は2026年7月27日の週に3137万人に達しました。オリジナル番組の視聴拡大に加え、国内外の映像関連アワードで複数の作品が評価されたことも、コンテンツ力の向上を示す材料となっています。
中長期では、ABEMAを単独の動画配信サービスとして成長させるだけでなく、アニメやマンガの原作開発、映像制作、配信・マーケティング、興行、商品化、海外展開までを一気通貫で手掛ける構想を進めています。ABEMAで集客し、ゲームや関連商品などで収益化するIP経済圏を構築できるかが、今後の企業価値を左右する重要なポイントになりそうです。

サイバーエージェント アベマくん/2024年10月22日. 撮影:STOCK EXPRESS編集部. Photographer: SHUN
広告事業は累計減益も、4~6月期は過去最高売上と2桁増益
インターネット広告事業の第3四半期累計売上高は前年同期比4.9%増の3636億8700万円、営業利益は同1.7%減の154億2500万円でした。累計ではわずかな減益となりましたが、直近の四半期では改善傾向が鮮明になっています。
4~6月期の売上高は前年同期比8.9%増の1213億円となり、第3四半期として過去最高を更新しました。営業利益も同14.2%増の41億円となり、2四半期連続で高い増収率を維持するとともに、四半期利益は2桁増益へ転じています。
同社は広告事業におけるAI活用を強化しています。広告クリエーティブの制作や効果予測、審査・入稿、配信・運用の最適化、効果検証といった一連の工程に自社開発AIを組み込み、広告効果と業務効率の向上を図っています。
広告効果を予測する「極予測TD」は、広告販売を開始したChatGPTへの対応も開始しました。また、広告配信の運用を専門に担うAIエージェント「効果おまかせAI」などの開発も進めています。
生成AIの普及によって、従来の検索エンジンを経由せず、AIの回答から情報を得る利用行動が広がっています。こうした変化に対応するため、同社は2026年6月に「AIサーチマーケティング事業本部」を新設しました。AI検索時代における企業や商品の認知、情報提示、広告効果の最適化を新たな成長分野として取り込む狙いです。
累計では減益であるものの、足元で売上高と利益がともに改善していることから、投資家にとってはAI関連投資がコスト増にとどまらず、受注拡大や利益率向上につながるかが今後の注目点となります。
ゲーム事業は営業利益509億円、全社利益をけん引
ゲーム事業の第3四半期累計売上高は前年同期比37.8%増の1933億9100万円、営業利益は同44.8%増の509億2300万円となりました。売上高、営業利益ともに大幅な増加となり、今回の全社増益をけん引しました。
「ウマ娘 プリティーダービー」などの主力タイトルが引き続き好調に推移したほか、2024年9月期以降に投入した複数の新作が売上高に貢献しました。カジュアルゲームのグローバル展開も成果を上げており、スマートフォン向け運用型ゲーム、コンソールゲーム、カジュアルゲームという複数の領域でヒットを生み出しています。
もっとも、4~6月期単独では売上高が前年同期比20.8%増の611億円となった一方、営業利益は同25.1%減の123億円でした。第1四半期の176億円、第2四半期の209億円と比較しても利益水準は低下しています。
第3四半期累計では営業利益が前年同期の351億円から509億円へ増加しているため、年度を通じた収益力は依然として高いといえますが、ゲーム事業はタイトルのリリース時期や周年イベント、広告宣伝費、既存作品の売上変動によって四半期ごとの利益が大きく動きます。第4四半期以降も現在の高い利益水準を維持できるかは、慎重に見極める必要があります。
「ホロドリ」は初日100万ダウンロード、今回の累計実績には未反映
ゲーム事業の今後を占う材料として注目されるのが、カバーとサイバーエージェント子会社のQualiArtsが共同開発した「hololive Dreams(ホロライブドリームス、ホロドリ)」です。
同作は第3四半期終了後の7月23日にスマートフォンとPC向けに世界同時配信され、初日で100万ダウンロードを突破しました。App Store、Google Play、Steamの配信3ストアすべてでセールスランキング1位を獲得し、日本だけでなく北米やアジアでも売上が好調に推移しているといいます。2026年7月時点のApp Storeにおけるユーザー評価も5点満点中4.8と高水準でした。
重要なのは、同作が7月リリースであるため、今回発表された2025年10月~2026年6月の第3四半期累計業績には売上高や利益が含まれていない点です。初動の売上は第4四半期以降に計上されるため、通期計画達成に向けた追加的な貢献が期待されます。
同じく7月には、コンソール・PC向け作品「GRANBLUE FANTASY: Relink – Endless Ragnarok」も世界同時リリースされました。前作とともにSteamランキング上位に入り、国内外で高い評価を獲得しています。
既存タイトルの長寿命化に加え、新作を日本国内だけでなく北米やアジアなどへ同時展開し、グローバルヒットにつなげられるかがゲーム事業の次の焦点です。「ホロドリ」の初動は明るい材料ですが、スマートフォンゲームではリリース直後の順位よりも、その後の利用継続率や課金水準が業績を左右します。投資家は第4四半期決算で開示される売上貢献と継続性を確認する必要があります。
投資育成事業は赤字拡大、全社業績への寄与は限定的
投資育成事業の第3四半期累計売上高は前年同期比83.0%減の2億4300万円となり、営業損益は16億4800万円の赤字でした。前年同期は8億6000万円の営業赤字であり、赤字幅が拡大しています。
同事業にはコーポレートベンチャーキャピタルやサイバーエージェント・キャピタルによるファンド運営などが含まれます。投資先の売却時期や評価損益によって業績が変動しやすく、主要3事業に比べると四半期ごとの予測が難しい事業です。
現時点ではゲームとメディア&IPの増益が投資育成事業の赤字を十分に吸収しています。ただし、市況悪化による投資先評価の変動や、売却益の計上時期は今後も全社利益の振れ要因になり得ます。
通期予想を大幅上方修正、減益予想から一転増益へ
サイバーエージェントは主要3事業が想定を上回って推移しているとして、2026年9月期の通期業績予想を大幅に引き上げました。
売上高は従来予想の8800億円から9500億円へ700億円増額し、前期比8.7%増を見込みます。営業利益は従来の500億~600億円から770億円へ引き上げ、同7.4%増としました。
経常利益は従来の500億~600億円から780億円へ修正し、前期比8.7%増を見込みます。最終利益は従来の250億~300億円から410億円へ引き上げ、同29.5%増となる見通しです。
従来予想の上限と比較すると、営業利益は170億円、経常利益は180億円、最終利益は110億円の上振れです。従来は営業利益や最終利益について前期比減益の可能性を見込んでいましたが、今回の修正で一転して増益予想となりました。
1株当たり利益は80.85円を見込み、提示された株価を前提とした予想株価収益率は18.5倍となります。ただし、修正後の最終利益410億円は、事前の市場予想平均であるQUICKコンセンサスの435億円を25億円下回ります。
会社予想の大幅上方修正そのものはポジティブですが、市場ではゲーム事業などの好調を既に一定程度織り込んでいた可能性があります。株価の反応を考える際には、従来予想との比較だけでなく、市場予想を上回ったかどうかが重要になります。
年間配当は20円へ増額、前期比3円の増配
同社は期末一括配当の予想を、従来の1株19円から20円へ1円増額しました。前期実績の17円と比較すると3円の増配となります。
同社は株主資本配当率(DOE)5%を目安とする株主還元方針を掲げています。業績上振れに合わせて配当予想を引き上げたことは、株主還元を重視する姿勢を示すものです。
予想EPS80.85円に対する配当性向は約24.7%となります。利益の成長に加え、DOEを軸とした安定的な配当拡大が続けば、成長株としてだけでなく、還元面からの評価にもつながる可能性があります。
第4四半期に必要な利益は低水準、計画達成のハードルは高くない
修正後の通期予想に対する第3四半期累計の進捗率は、売上高が74.7%、営業利益が87.6%、経常利益が88.7%、最終利益が87.9%です。
通期計画から累計実績を差し引くと、7~9月期に必要となる売上高は約2407億円、営業利益は約96億円、経常利益は約88億円、最終利益は約50億円です。
売上高については年間計画のおおむね4分の1を残していますが、各利益の必要額は通期計画の11~12%程度にとどまります。さらに、7月にリリースした「ホロドリ」など新作ゲームの寄与が見込まれることを踏まえると、修正後計画の達成ハードルは必ずしも高くないとみられます。
一方、経常利益については、第4四半期に必要な約88億円が前年同期比で約62%減となる計算です。会社側は新作ゲームや各事業の好調を織り込みながらも、第4四半期について保守的な利益計画を置いている可能性があります。
ただし、ゲーム事業では新作に伴う広告宣伝費や運営費が先行することがあります。メディア&IP事業でもコンテンツ投資を積極化しているため、累計進捗率の高さだけをもって大幅な上振れを断定することはできません。今後の焦点は、通期計画を達成するかどうかよりも、どの程度上回って着地できるかに移りつつあります。
投資家の注目は「利益の持続性」とIP戦略の成果へ
今回の決算は、ゲーム事業の大幅増益とABEMAの収益改善によって、第3四半期累計の各利益が大きく伸び、通期計画も減益予想から増益予想へ転じる好内容でした。広告事業も4~6月期には過去最高売上と2桁増益を達成しており、主要3事業がそれぞれ成長を続けています。
投資家にとっての最大の評価材料は、長年にわたって先行投資が続いたABEMAを含むメディア&IP事業が、積極投資を続けながら利益を生み出す段階に入ったことです。ゲーム事業への利益依存度は依然として高いものの、メディア&IPが安定的な利益源へ成長すれば、連結業績の変動を抑える効果も期待できます。
一方で、4~6月期単独では連結営業利益と経常利益が減少し、ゲーム事業も四半期ベースでは減益でした。修正後の最終利益予想が市場コンセンサスを下回っていることもあり、決算内容を全面的なサプライズと評価するには慎重さが必要です。
今後は「ホロドリ」の売上が初動後も継続するか、ABEMAがコンテンツ投資と利益成長を両立できるか、広告事業のAI対応が利益率の改善につながるかが焦点となります。短期的には第4四半期の上振れ余地、中長期的にはABEMA、ゲーム、広告の顧客基盤を組み合わせたオリジナルIP戦略の成果が、サイバーエージェント株の評価を左右することになりそうです。
なお、本記事は、投資判断の参考情報として提供するものであり、特定の株式売買を推奨するものではありません。投資の最終ご判断はあくまで自己責任でお願いいたします。

STOCK EXPRESS車掌 SHUN
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【Dear Overseas Investors: Summary in English】
CyberAgent Raises Full-Year Outlook as Gaming and ABEMA Drive Strong Profit Growth
CyberAgent Inc. (TSE: 4751) reported strong results for the nine months ended June 2026, supported by growth in its gaming and Media & IP businesses.
Revenue increased 12.2% year on year to ¥709.3 billion, while operating profit rose 38.2% to ¥67.4 billion. Ordinary profit climbed 42.3% to ¥69.2 billion, and net profit attributable to shareholders increased 49.5% to ¥36.0 billion.
Full-Year Forecast Upgraded
CyberAgent raised its fiscal 2026 revenue forecast to ¥950 billion and its operating profit outlook to ¥77 billion. Net profit is now expected to rise 29.5% year on year to ¥41 billion, reversing the company’s previous forecast for a decline.
The revised net profit forecast is ¥11 billion above the upper end of the previous guidance, although it remains below the QUICK consensus estimate of ¥43.5 billion.
The company also raised its annual dividend forecast from ¥19 to ¥20 per share, compared with ¥17 in the previous fiscal year.
Gaming and ABEMA Lead Growth
Gaming revenue rose 37.8% to ¥193.4 billion, while operating profit increased 44.8% to ¥50.9 billion. Existing titles, including Umamusume: Pretty Derby, remained strong, while casual games performed well globally.
The recently launched hololive Dreams surpassed one million downloads on its first day and topped sales rankings on the App Store, Google Play and Steam. As the game was released in July, its contribution was not included in the nine-month results and should begin to appear in the fourth quarter.
In the Media & IP segment, revenue increased 8.9% to ¥183.9 billion and operating profit surged 88.0% to ¥13.2 billion. Improved profitability at the ABEMA streaming platform was the main driver.
High Progress Rates, but Quarterly Profit Slows
CyberAgent has already achieved 87.6% of its revised full-year operating profit target and 87.9% of its net profit target. The company needs approximately ¥9.6 billion in operating profit and ¥5.0 billion in net profit during the final quarter to meet its guidance.
However, operating profit for the April–June quarter fell 23.6% year on year, while ordinary profit declined 21.5%. Investors will therefore focus on whether new gaming releases, sustained ABEMA profitability and AI-led growth in the advertising business can support earnings beyond the current fiscal year.
Disclaimer: This article is provided for informational purposes only and should not be construed as a recommendation to buy or sell any specific securities. Please make investment decisions at your own discretion.





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