高市政権の課税強化方針と投資家への影響
先日の記事(高市政権、金融所得課税の強化を提起!富裕層中心に増税論議が再燃)でもお伝えしたように、発足したばかりの高市政権が金融所得課税の強化を検討しているとの報道が出ています。株式や投資信託などの金融資産から得られる所得に対して、より高い税率を課す方針についてです。一見すると「富裕層への増税」として公平に見えるかもしれません。しかし、この動きは日本の資本市場の根幹を揺るがし、結果として日本の国力低下を招く可能性がある、と私は懸念を感じております。
金融所得課税強化の本質的な問題
金融所得課税の強化は、日本人投資家にとってのインセンティブを弱めます。なにしろ、これは日本人のみにかかる増税ですから。外国人投資家に増税するわけではないですから、外国人に有利になりますよね。
結果として、国内の資本保有が減少し、外国人投資家の日本株保有比率がさらに高まることが予想されます。すでに日本株の約4割は外国人が保有しているとされており、この比率が一段と上昇すれば、企業経営の主導権や利益の帰属がますます海外へと移っていくでしょう。
また、円安が続く中では、外国人投資家にとって日本の資産は「割安」で魅力的に見えます。
このタイミングで国内投資家への税負担を重くすれば、資本流出のスピードはさらに加速する可能性があります。
資本主義における利益の構造
資本主義社会では、経済成長によって得られる利益は、基本的に「労働」ではなく「資本」に帰属します。企業の成長やイノベーションの果実は、最終的に株主へと分配される構造になっているのです。したがって、資本を持つことが個人や国家の競争力に直結します。
もし、資本(株式・不動産・知的財産など)を外国に握られてしまえば、日本国内でどれほど好景気が訪れようとも、その利益の多くは海外に流出してしまいます。
たとえば、日本企業が好調でも、その株式を外国人投資家が保有していれば、配当や売却益は海外へと送金されることになります。これは「見えない富の流出」とも言える現象です。
日本の資本を守る視点を持つべき
資本とは、単にお金や株式だけではありません。
不動産、知的財産、文化、といった社会的資本も含まれます。
それらが徐々に海外に買われていくことは、国の主権や経済的独立性を失うことに等しいのです。
10月5日の記事(ヤゲオによる芝浦電子TOB成立へ!同意なき買収、台湾勢の勢い鮮明に)でお伝えしたように、日本の有力企業が外資による敵対的買収を受け、結果として日本資本のまま守ることができなかったケースがありました。
このような事例は今後も増えると予想されます。
このままでは「日本人が外国資本のもとで働く時代」が到来しかねません。すでにそうなりつつあるのでしょう。
投資家として今考えるべきこと
日本人は優秀な民族だと思いますが、「資本」の考え方が根付いていない傾向があり、グローバル社会の中でどうしても不利になってしまっている傾向があると思います。
日本が長期的に国力を維持し、豊かさを国内に循環させるためには、日本人が自国の資本を持ち続けることが不可欠です。果てして高市さんにこの視点があるかどうか…
政府は短期的な税収増よりも、資本の国内定着と市場活性化を優先すべきではないでしょうか。
金融所得課税強化は、一見「公平な増税」に見えますが、その裏側には日本という国家の富の構造そのものを変えてしまうリスクが潜んでいます。
投資家として、株主として、そして一人の国民として、この政策の影響を冷静に見つめ直す時期に来ているのです。このサイトの読者の方の多くが株保有者だと思います。今こそ、我々が資本を守るという精神を持って力強く行動していく時ではないでしょうか。

STOCK EXPRESS車掌 SHUN
株主視点での経済ニュースサイト「STOCK EXPRESS」
ぜひ、ブックマークしてご購読くださいませ。
▼記事更新通知は 私のXにて♪
https://x.com/shun699





コメント