- 売上高1兆500億円、営業利益1950億円へ上方修正
- 中間期は売上高32.7%増、営業利益48.5%増
- スポーツスタイルが83%増収、成長の第2エンジンに
- 主力ランニングも堅調、高付加価値商品が収益性を支える
- オニツカタイガーは35.9%増収、利益率は約40%
- 2027年にオニツカタイガーを分社化、意思決定を迅速化
- 全地域で増収増益、北米と欧州で利益率が大きく改善
- 7月売上高も1000億円突破、下期に好スタート
- 年間配当を44円へ増額、前期比16円の増配
- アシックス商事を清算、ウォーキング事業を再構築
- 株価は一時13%高、約3カ月ぶりに上場来高値を更新
- 投資家が注目すべき今後のポイント
- 【Dear Overseas Investors: Summary in English】
売上高1兆500億円、営業利益1950億円へ上方修正
競技用シューズやスニーカー、アスレチックウェアなどを世界で展開する株式会社アシックス(東証プライム、証券コード7936)が、成長の節目となる売上高1兆円の大台を当初計画より早く突破する見通しとなりました。同社は2026年8月14日 13:00、2026年12月期の連結業績予想を上方修正し、売上高、営業利益、経常利益、当期純利益のすべてで過去最高を見込むと発表しました。

新たな通期予想は、売上高が前期比29.5%増の1兆500億円、営業利益が同36.8%増の1950億円、経常利益が同35.7%増の1890億円、親会社株主に帰属する当期純利益が同21.6%増の1200億円です。従来予想との比較では、売上高を9500億円から1000億円、営業利益を1710億円から240億円、当期純利益を1100億円から100億円、それぞれ引き上げました。
営業利益予想の1950億円は、市場予想平均であるQUICKコンセンサスの1834億円を上回る水準です。単に売上高が伸びているだけでなく、営業利益の増加率が売上高の増加率を上回る見通しである点は、収益性の改善を評価するうえで重要です。通期営業利益率は前期の17.6%から18.6%へ、1.0ポイント上昇する計画となっています。
アシックスは中長期目標として2029年12月期に売上高1兆円を目指していましたが、今回の修正によって約3年前倒しで達成する見込みです。世界の大手スポーツメーカーと比較すれば売上規模にはなお開きがあるものの、1兆円企業の仲間入りは、アシックスが世界のスポーツ市場で存在感を一段と高める転換点になりそうです。
アシックスの決算発表内容について、以下にて詳しく解説していきます!!
中間期は売上高32.7%増、営業利益48.5%増
業績予想の上方修正を支えたのは、2026年1~6月期の力強い実績です。中間期の連結売上高は前年同期比32.7%増の5344億円となり、中間期として初めて5000億円を突破しました。為替影響を除いても22.0%の増収であり、円安だけに依存しない実質的な事業成長が確認できます。
営業利益は同48.5%増の1204億円、営業利益率は前年同期から2.4ポイント上昇して22.5%となりました。親会社株主に帰属する中間純利益は同53.3%増の821億円に達し、営業利益とともに過去最高を更新しています。純利益は1~6月期として4期連続の最高益となりました。
粗利益率は販売価格の適正化などが寄与し、前年同期比0.6ポイント上昇の57.3%となりました。売上高の拡大に加え、価格政策、商品構成の改善、販売管理費のコントロールが利益成長につながっています。広田康人会長兼最高経営責任者(CEO)は決算説明会で、技術開発への注力や収益管理の徹底、不採算部門からの撤退が業績改善に寄与したとの認識を示しました。
在庫面でも改善がみられます。大幅な増収を実現しながら、2026年6月末の棚卸資産は前期末比で42億円減少し、為替影響を除けば83億円減少しました。需要拡大局面において在庫が膨張していないことは、商品管理の精度やキャッシュ創出力を判断するうえで前向きな材料といえます。
スポーツスタイルが83%増収、成長の第2エンジンに
カテゴリー別で特に目を引いたのが、日常用のファッションスニーカーなどを扱う「スポーツスタイル」です。2026年1~6月期の売上高は前年同期比83.0%増の1231億円となり、為替影響を除いても65.6%増という高い成長率を記録しました。カテゴリー利益率も前年同期から3.3ポイント上昇し、34.0%に達しています。
スポーツスタイルは全地域で増収増益となり、北米では約90%、欧州では100%を超える大幅な増収となりました。機能性を背景に持つスポーツブランドの商品が日常のファッションとして選ばれる流れを取り込み、アシックスはランニング分野以外でも顧客層を広げています。
スポーツスタイルの成長は、アシックスの事業構造を評価するうえで大きな意味を持ちます。これまでの同社は高機能ランニングシューズの印象が強い企業でしたが、ファッション性を備えた商品群が新たな収益源として急速に育っています。欧州や北米で高い成長を実現していることから、同カテゴリーは主力のパフォーマンスランニングに次ぐ「第2の成長エンジン」として期待されます。
7月単月のスポーツスタイル売上高も前年同月比45.1%増、為替影響を除いて34.2%増となりました。中間期に急拡大した反動で成長率が鈍化する可能性には注意が必要ですが、下期に入っても高い増収率を維持していることは、通期予想の実現可能性を高める材料です。
主力ランニングも堅調、高付加価値商品が収益性を支える
主力のパフォーマンスランニングは、売上高が前年同期比19.3%増の2206億円となりました。為替影響を除いた増収率は8.2%です。スポーツスタイルほどの急拡大ではないものの、規模の大きい主力部門が安定して成長している点は、全社業績の基盤を支えています。
「BOUNCE」シリーズや、2026年6月に発売した「GEL-KAYANO 33」など、高付加価値商品を中心に販売が好調でした。カテゴリー利益率は前年同期から1.1ポイント上昇して26.3%となっています。販売数量だけを追うのではなく、技術力やブランド力を生かした価格戦略を進めていることが、利益率の改善につながったとみられます。
北米のランニング専門店向け売上高は、為替影響を除いて前年同期比24.2%増となりました。専門性の高い販売チャネルで支持を得ていることは、競技ブランドとしての信頼性を示す材料です。下期には「NOVABLAST 6」などの新商品投入も予定されており、ランニングカテゴリーの安定成長が続くかが注目されます。
オニツカタイガーは35.9%増収、利益率は約40%
高級ライフスタイルブランドとして展開する「オニツカタイガー」も、業績拡大をけん引しました。中間期の売上高は前年同期比35.9%増の895億円となり、為替影響を除いても29.4%増加しました。全地域で2桁以上の成長を記録し、カテゴリー利益率は前年同期比0.6ポイント上昇の39.7%となっています。
国内では訪日外国人による需要が引き続き好調でした。アシックスジャパンのインバウンド売上高は前年同期の216億円から308億円へ大幅に増加しています。海外でも欧州や中華圏を中心に売上高が伸び、オニツカタイガーが日本発のグローバルブランドとして成長していることが鮮明になりました。
同社は2025年以降、パリのシャンゼリゼ通りや東京・新宿など、国内外で大型店舗の出店を進めてきました。店舗ごとに独自の体験を提供することで来店客の満足度とブランド価値を高め、リピーターの獲得にもつなげています。今後は神戸や米国ロサンゼルスへの出店も視野に入れ、グローバルでの顧客接点をさらに拡大する方針です。
7月単月のオニツカタイガー売上高は前年同月比34.9%増、為替影響を除いて29.0%増となりました。アシックスジャパンの7月のインバウンド売上高53億円のうち、オニツカタイガーが47億円を占めており、訪日需要を取り込む中心的なブランドになっています。
2027年にオニツカタイガーを分社化、意思決定を迅速化
アシックスは、オニツカタイガー事業を2027年1月1日付で分社化する予定です。完全子会社の「OT GROUP」を中心とした独立性の高い経営体制へ移行し、意思決定の迅速化を図ります。研究開発や知的財産など、グループの競争力の源泉となる機能は引き続き共有する方針です。

オニツカタイガーは利益率が高く、アシックスの企業価値向上において重要な役割を担っています。分社化によって商品企画、店舗投資、マーケティングなどの判断が速くなれば、ラグジュアリーライフスタイルブランドとしてのポジションを一段と明確にできる可能性があります。
一方で、積極的な出店による固定費の増加や、流行の変化、訪日需要への依存度、ブランド価値を維持しながら規模を拡大する難しさには注意が必要です。投資家にとっては、分社化後も高い売上成長率と約40%のカテゴリー利益率を維持できるかが重要な確認点となります。
全地域で増収増益、北米と欧州で利益率が大きく改善
地域別では、すべての地域で増収増益を達成しました。アシックスジャパンの売上高は前年同期比23.8%増となり、営業利益率は同3.4ポイント上昇の33.4%に達しました。オニツカタイガーを中心とするインバウンド需要の拡大と、粗利益率の改善が利益成長を支えています。
北米の売上高は前年同期比28.1%増、為替影響を除いて19.6%増でした。スポーツスタイルの大幅な増収と粗利益率の改善により、営業利益率は前年同期から6.2ポイント上昇して20.1%となりました。世界最大級のスポーツ市場である北米において、売上高と収益性を同時に伸ばした点は評価材料です。
欧州の売上高は前年同期比46.4%増、為替影響を除いて29.7%増となりました。スポーツスタイルとオニツカタイガーが大きく伸びたほか、販売管理費のコントロールも奏功し、営業利益率は2.1ポイント上昇の20.8%となっています。
東南・南アジアも、パフォーマンスランニング、コアパフォーマンススポーツ、オニツカタイガーがそろって伸長しました。売上高は前年同期比33.9%増、為替影響を除いて25.9%増となり、営業利益率は1.1ポイント上昇の24.2%でした。特定の国やカテゴリーだけに依存せず、複数地域で成長していることは、事業リスクの分散という面でも強みとなります。
7月売上高も1000億円突破、下期に好スタート
中間期終了後の販売動向も堅調です。2026年7月の単月売上高は1003億円となり、前年同月比22.8%増、為替影響を除いて14.4%増となりました。単月とはいえ売上高が1000億円を超え、下期も成長基調を維持していることが確認されました。
7月は全カテゴリーで増収となり、地域別でもアシックスジャパン、北米、欧州などが大幅な増収を記録しました。会社側は、下期もスポーツスタイルとオニツカタイガーが好調に推移すると想定しています。中間期終了時点の売上高進捗率は通期予想に対して約50.9%ですが、7月の販売実績を踏まえると、上方修正後の1兆500億円に向けて順調なスタートを切ったといえます。
もっとも、通期計画には為替レートの見直しによる押し上げも含まれています。2026年12月期の計画為替レートは1ドル160円、1ユーロ180円、1人民元23円です。円高に転じた場合、海外売上高の円換算額が縮小する可能性があるため、今後は為替影響を除いた実質成長率にも注目する必要があります。
年間配当を44円へ増額、前期比16円の増配
好調な業績を株主に還元する姿勢も示されました。2026年12月期の年間配当予想は、従来予想の1株38円から44円へ6円引き上げられました。中間配当を従来予想から2円増額した20円、期末配当を4円増額した24円とする計画です。
前期の年間配当28円と比較すると16円の増配となり、増配率は約57%に達します。成長投資を継続しながら株主還元も拡充する方針は、投資家にとって前向きな材料です。予想配当性向は単純計算で約27%となり、利益成長が続けば今後の追加的な還元余地も意識されそうです。
アシックス商事を清算、ウォーキング事業を再構築
成長分野への経営資源集中と並行して、国内事業の再編も進めます。アシックスは連結子会社のアシックス商事について、全事業を終了したうえで解散・清算する方針を発表しました。同社が手掛けるウォーキング事業は、2027年1月1日付でアシックスまたはアシックスジャパンへ移管します。
アシックス商事の社員には、本人の意思を尊重した特別転身支援プログラムを実施し、関連費用として約70億円の特別損失を計上しました。この費用を吸収してなお中間純利益が53.3%増となったことは、本業の収益力が大きく改善していることを示しています。
ウォーキング事業では、国内のメンバーシッププログラムを「OneASICS」に統一し、2026年後半から中華圏などで海外展開を開始する計画です。子会社清算は短期的には費用を伴うものの、ブランド運営や販売網を一体化し、事業効率を高められるかが中長期的な焦点となります。
株価は一時13%高、約3カ月ぶりに上場来高値を更新
好決算と業績予想の上方修正を受け、8月14日の東京株式市場ではアシックス株に買いが集まりました。株価は決算発表後に前日終値比13%高の5389円まで上昇し、5月に付けた従来の上場来高値5149円を更新しました。終値も前日比515円高の5281円となり、高値圏を維持して取引を終えました。
▼アシックス株価推移(2026年8月10日〜14日)

アシックス株価推移(2026年8月10日〜14日)
市場が好感したのは、営業利益予想がコンセンサスを上回ったことに加え、売上高1兆円の前倒し達成、増配、スポーツスタイルとオニツカタイガーの高成長など、複数の好材料が重なったためと考えられます。とりわけ、主力ランニング事業の安定成長を維持しながら、利益率の高いライフスタイル分野を拡大している点が評価されたとみられます。
ただし、好材料を受けて株価が急上昇した後は、将来の成長期待が株価にどこまで織り込まれたかを慎重に見極める必要があるでしょう。今後の決算では、スポーツスタイルの高成長が持続するか、オニツカタイガーの分社化がブランド価値向上につながるか、北米・欧州の利益率改善が定着するかが注目されます。
投資家が注目すべき今後のポイント
アシックスの今回の決算は、売上規模、利益額、利益率のいずれも一段高いステージへ移行しつつあることを示しました。2019年12月期との比較では、2026年12月期の売上高は約2.7倍に達する見通しです。不採算事業の整理、商品力の向上、価格の適正化、在庫管理の強化など、これまで進めてきた経営改革が数字に表れています。
今後の最大の焦点は、急成長したスポーツスタイルとオニツカタイガーが、現在の勢いをどこまで持続できるかです。両カテゴリーは利益率も高く、売上構成比が上昇すれば全社の収益性をさらに押し上げる可能性があります。一方、ファッション市場は消費者の嗜好変化が速く、人気商品の継続的な創出やブランドの希少性維持が不可欠です。
加えて、為替変動、米国の関税政策、広告宣伝費や人材投資の増加も利益を左右します。会社側は通期営業利益の増減要因として、販売増による大幅な押し上げを見込む一方、人的資本への投資、広告宣伝費、変動費、その他販売管理費の増加を織り込んでいます。短期的な利益最大化だけでなく、将来のブランド成長に必要な投資を行いながら高い利益率を維持できるかが重要です。
売上高1兆円の前倒し達成は大きな通過点ですが、世界市場での競争はここから一段と厳しくなります。高機能ランニングシューズで培った技術力と信頼を土台に、スポーツスタイルとオニツカタイガーを世界的なブランドへ育てられるかが、アシックスの次の成長局面を左右することになりそうです。
なお、本記事は、投資判断の参考情報として提供するものであり、特定の株式売買を推奨するものではありません。投資の最終ご判断はあくまで自己責任でお願いいたします。

STOCK EXPRESS車掌 SHUN
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【Dear Overseas Investors: Summary in English】
ASICS Raises Full-Year Outlook as Revenue Is Set to Exceed ¥1 Trillion for the First Time
ASICS Corporation raised its consolidated earnings forecast for the fiscal year ending December 2026 after posting record first-half results. The company now expects revenue of ¥1.05 trillion, up 29.5% year on year, operating profit of ¥195 billion, up 36.8%, and net profit attributable to owners of the parent of ¥120 billion, up 21.6%. All three figures would represent record highs.
For the first six months, revenue increased 32.7% to ¥534.4 billion, while operating profit rose 48.5% to ¥120.4 billion. Net profit advanced 53.3% to ¥82.1 billion. Operating margin improved by 2.4 percentage points to 22.5%, supported by higher sales, optimized pricing and disciplined expense management.
SportsStyle was the standout category, with revenue rising 83.0% to ¥123.1 billion amid strong demand in North America and Europe. Performance Running revenue increased 19.3% to ¥220.6 billion, while Onitsuka Tiger revenue climbed 35.9% to ¥89.5 billion. Onitsuka Tiger’s category profit margin reached 39.7%, highlighting its growing importance to the group’s profitability.
ASICS also raised its annual dividend forecast from ¥38 to ¥44 per share, compared with ¥28 in the previous year. Following the announcement, the shares reached a new record high during Tokyo trading.
Investors will be watching whether the rapid growth of SportsStyle and Onitsuka Tiger can continue, as well as the impact of foreign-exchange movements, tariffs and higher investment in marketing and human capital.
Disclaimer: This article is provided for informational purposes only and should not be construed as a recommendation to buy or sell any specific securities. Please make investment decisions at your own discretion.





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