ANAホールディングスが10月31日、2025年3月期上期の連結業績を発表しました。旅行需要が順調で、売上高は過去最高を記録した一方、整備費や人件費などの営業費用も膨らみ、営業利益は前期比減となりました。全体的には、通期予想は上方修正する順調ぶりが目立った発表内容でしたね。ANAの株価も、ここのところ上昇を続けております。
私が注目したのは、ANA HD 芝田浩二社長が会見で語った「為替」についての発言。芝田社長は「もう少し円高のほうが収入と費用のバランスも取れて、日本のお客様も海外により行きやすくなる。1ドル125円とか130円に向かうような方向性を示していただければ。」と語りました。現在、円安方向へと進んでいて、1ドル 152円から153円くらいで推移している為替。ちなみに、ANAの米ドル円為替レートは140円なので、想定よりも円安へと振れすぎていますね。これにより、海外客の日本への渡航が増えているものの、芝田社長が仰るとおり、日本の方々が海外に行くためのハードルは上がってしまっていると思います。また、ANAの営業費用がかさんでいるように、円安は物価高にも繋がりやすいです。
為替は、その業種によって理想とする値が異なると思いますが、航空業界のANAが 今よりも20円以上の円高を志向していることが、私には興味深く感られました。
為替といえば、本日(日付がてっぺんを回りましたが、10月31日)、日銀植田総裁の会見がありました。事前の予想通り、今回は追加利上げの発表はなされませんでした。ただ、今まで植田総裁が使っていた言葉「時間的余裕がある」という言葉は使われませんでした。植田総裁は「リスクの度合いは少しずつ下がっているので、このリスクに光を強く当てて『時間的余裕をもってみていく』という表現は不要になるのではないか。きょうも使っていない。」と説明しています。これは、そろそろ利上げが近づいていることを示唆しているのかも。日本が利上げすれば、日米金利格差は縮小するので、円高方向へと進む可能性が高まります。この発言を受けて、ドル円はやや円高へと進みました。とはいえ、152円台で推移しており、まだ円安傾向であることに変わりはないようです。
次回、12月の日銀会合で利上げ発表があるのか、注目したいところです。日本の政局も揺れている上、米国では大統領選も行われるため、リスクとしては高い時期であり、実際には日銀の利上げは年明けになりそうですが、果たしていかに!?為替にも密接に関連するテーマだけに注目していきます。
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