オルツ、上場廃止!そして、倒産へ・・・(上場倒産は今年初)

オルツ上場廃止 株式劇場

AIベンチャー企業の株式会社オルツ(東京都港区)は、2025年7月30日付で東京証券取引所グロース市場から上場廃止となり、同日、東京地裁へ破産手続きの開始を申し立てました。8月31日に上場廃止となります。昨年2024年10月11日には東京証券取引所グロース市場に株式を上場したばかりでしたが、1年も経たずしてのスピード上場廃止、さらには倒産となります。上場倒産は、今年初。2024年11月の日本電解(株)(東証グロース、民事再生法)以来8カ月ぶり。

▼昨年10月の上場当時は華々しく注目されましたが…

株式会社オルツが、2024年10月11日に東京証券取引所グロース市場に上場した当時の写真。

株式会社オルツが、2024年10月11日に東京証券取引所グロース市場に上場した当時の写真。中央が当時の米倉千貴社長、その向かって左が日置友輔氏

オルツ社は、米倉千貴氏によって、2014年11月に東京都江東区で設立された企業。米倉社長自身がベンチャー経営をする中で社長の業務時間の不足がネックになると考え、AI(人工知能)による自動社長ボットに業務代行を構想。P.A.I(パーソナル人工知能)の開発を事業の目的に掲げ、創業。2019年には東京都港区に本社を移転し、2020年代前半に急成長を遂げ、10月11日には東京証券取引所グロース市場に株式を上場。国産LLM(大規模言語モデル)や高精度自動文字起こしAI議事録「AI GIJIROKU」などの製品でも話題を呼んだが、収益化には時間を要し、先行投資負担が経営を圧迫していました。

2023年12月期:約41億1100万円
2024年12月期 年収入高(連結):約60億5700万円

しかし、2024年以降は業績不振が続き、循環取引による売上水増しなどによる事業価値の毀損と財務状態の悪化。追加資金調達の目処も立たなかった。負債は、債権者約400名に対し、約24億円(2025年6月30日現在)。また、主要な企業連携案件の延期や、競合企業の台頭などが重なり、株価は上場来安値を更新。2025年6月末には監査法人から継続企業の前提に疑義が付されたこともあり、市場の信用不安が拡大していました。オルツ社は新規上場申請時に申請書類の財務諸表などに虚偽の情報を記載し、上場承認を得ていたと認めており、過去の決算で計上した売上高のうち最大で9割が過大計上によるものだったことも7月25日に発表していました。

9割??
詳細を調べてみると、2024年12月期の有価証券報告書では、有料アカウント数は2万8,699件と記載されておりました。この数字を見ると、AI事業で一定の顧客基盤を築いているように見えますし、魅力的に見えます。しかし、2025年7月に第三者委員会が公表した調査報告書によると、実際の有料会員は5170件で、さらに直近でアクセス記録があったのは2,236件のみ。他は有料ではなく無料アカウントなのか休眠状態なのか、いずれにしても、2万8699件と公表していたものが、実際は2,236件だったわけで、約1割のみ。残り9割が水増しだったことになります。
さらに、顧客の多くが架空であるという情報も出ております。オルツ社が「スーパーパートナー(SP)」と称する販売パートナーに広告出稿し、そのパートナー経由で「AI GIJIROKU」のライセンスを購入したように見せかけ、オルツ社の資金がぐるっと循環して戻ってくる仕組み。この手法が2021年6月~2024年12月まで続けられていたとされ、これが見せかけの実績となっていた、と。

さてさて、
上場廃止の報道を受けて、株価は当然、急落

株式会社オルツ 株価推移。2024年上場~2025年7月31日。STOCK EXPRESS

株式会社オルツ 株価推移。2024年上場~2025年7月31日。STOCK EXPRESS

昨年末には800円以上あった株価は、100円以下に…本日7月31日は24円の安値をつけております。株価は4月の報道の際に下落し、6月5日の朝日新聞の報道などもあり(この時はオルツ社の7割が水増しだとされていました)、株価は低空飛行を続けておりましたが、ここへきて決定的な大暴落。

株主の皆さま、大丈夫でしょうか?(汗。市場成長が期待できるAI事業をやっている企業だけに、株を買っていた方も多かったのではないでしょうか。
一方で、関係者の方で上場当初に高値で売り抜けた方もいたのでは…?と考えると、波深さも感じずにはいられません。サスペンス劇場を見ているような展開に発展していきそう…
オルツならぬ、orz…ですよ、ホント。

そもそも、オルツ上場の際の主幹事の大和証券、監査法人の監査法人シドーは、見抜けなかったのでしょうか??

破産手続きに伴い、今後は裁判所選任の破産管財人のもとで債権整理が進められる見通し。現在、取引先企業やサービスユーザーに対して、速やかな情報開示と対応が求められています。

今後は、事業を継続しつつスポンサーを模索し、当該スポンサーへ事業を承継することで再建を図るとしています。一部では、オルツのAI資産や知的財産(IP)について買収を検討する動きもあると報じられており、業界の再編にも影響を与える可能性があります。米倉千貴社長は7月28日付で辞任しており、日置友輔氏が後任社長に。今後、どのように再建していくのか、今後の動向をウォッチしていきたいと思います。

いや~、昨年末の日本電解も驚きましたが、オルツの件も衝撃が走りましたね。。日本電解の時は特に盛り上がりもなく終わりましたが、オルツの最後の場面は果たしてどんな展開に…?

▼日本電解に関する昨年末の記事はこちら
https://stockexpress.jp/nippondenkai20241127/

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PROFILE

【STOCK EXPRESS(ストックエクスプレス)】(略称:STOCK.EX)株主視点の経済ニュース考察を発信してまいります!
語り手は、SHUN
渋谷桜丘 在住。立教大学法学部卒業。株主として様々な企業を応援し、経済活性化に努めております。報道カメラマンとして写真撮影もしており、数々の著名人を撮影。2000年代にはライブドアニュースにて経済記事執筆。(保有資格:知的財産管理技能士、化粧品検定1級、食生活アドバイザー、景表法検定など)

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