味の素、最終減益見通しも成長投資を加速!半導体材料と食品事業が次の成長エンジンに

味の素、最終減益見通しも成長投資を加速!半導体材料と食品事業が次の成長エンジンに 食品・飲料業界株

味の素株式会社(2802)が5月7日大引け後(15:30)に発表した2027年3月期の業績見通しは、最終利益が前期比10.9%減の1200億円となる計画で、市場予想を下回る内容となりました。一方で、売上高と事業利益は過去最高を更新する見込みであり、投資家の視線は「一時的な減益」よりも、「持続的な成長力」に向かっています。
同社は同時に、年間配当を前期比2円増の50円へ引き上げる方針も公表。半導体材料事業への大型投資に加え、海外食品事業やコーヒー事業の拡大も鮮明となっており、中長期成長への期待が改めて高まっています。以下にて詳しく見ていきましょう!!

本社売却益の反動で最終減益へ ただし本業は過去最高更新見通し

味の素の2027年3月期連結純利益は1200億円と、前期比で減益を見込んでいます。もっとも、この減益の主因は、前期に計上した本社ビルの土地・建物売却益406億円の反動によるもので、本業の収益力そのものが低下するわけではありません。
実際、売上高は前期比8.8%増の1兆7230億円、事業利益は同8.7%増の1970億円を見込んでおり、いずれも過去最高を更新する計画です。
市場では最終利益の減少幅に注目が集まり、会社計画はアナリスト予想平均を下回りました。しかし、特殊要因を除けば事業基盤はむしろ強化されており、内容面では堅調との見方も出ています。
特に注目されるのが、生成AI向け需要の拡大を背景にした半導体材料事業の成長です。味の素の電子材料「ABF(味の素ビルドアップフィルム)」は、AIサーバー向け高性能半導体に不可欠な材料として需要が急拡大しており、今後の利益成長をけん引する存在として存在感を増しています。

AI関連需要を追い風にABF増産へ 岐阜に新工場用地取得

同社子会社の味の素ファインテクノは同日、岐阜県可児市の工業団地に新工場用地を約12億円で取得すると発表しました。
新工場ではABFを生産する予定で、川崎工場、群馬工場に続く第3の生産拠点となります。2028年着工、2032年稼働開始を計画しており、2030年以降も続くとみられる半導体市場の拡大を見据えた先行投資といえます。
ABFはAI向け半導体パッケージに用いられる絶縁材料であり、生成AI市場の成長とともに需要が急増しています。エヌビディアをはじめとするAI半導体メーカーの高性能GPU需要拡大が、味の素の電子材料事業にも追い風となっています。
また、地政学リスクや自然災害リスクへの備えという側面も大きいようです。新工場は既存拠点から一定距離を置いた立地となっており、供給体制の分散による安定供給強化も狙っています。
こうした動きを背景に、海外アクティビストファンドのパリサー・キャピタルは今年3月、味の素株を取得したうえで、ABFの値上げなどを通じた企業価値向上を提言していました。市場では、ABF事業の収益性向上余地に対する期待も高まっています。

中東情勢リスクには警戒感 「300億円なら打ち返せる」

一方で、会社側は原材料高やエネルギーコスト上昇への警戒も強めています。
味の素は今回の業績予想に中東情勢悪化の影響を織り込んでいませんが、仮に為替が1ドル=158円、原油価格が1バレル=110ドルで推移した場合、原材料費や物流費などの上昇により、事業利益段階で300億円規模の影響が発生する可能性があると試算しています。
中村茂雄社長は決算会見で、「300億円程度なら打ち返せる」と述べ、調達先の多様化、コスト削減、必要に応じた価格改定などで吸収可能との考えを示しました。
ただ、包材コストなどは上昇圧力が強く、自助努力だけで吸収できない場合には製品値上げも検討する方針です。食品メーカー各社がインフレ対応に追われるなか、味の素の価格転嫁力も今後の注目ポイントとなりそうです。

調味料・食品事業も堅調 海外成長が業績支える

味の素の強みは、半導体材料だけではありません。本業である調味料・食品事業も引き続き堅調に推移しています。
海外では風味調味料の販売が伸びており、特にアジアや新興国市場での需要拡大が業績を支えています。グローバル展開による収益基盤の分散が進んでいることも、同社の安定感につながっています。
2026年3月期決算では、売上高が前期比3%増の1兆5837億円、純利益は92%増の1346億円となりました。さらに、1〜3月期単独では最終損益が449億円の黒字となり、前年同期の赤字から大きく改善。売上営業利益率も急回復しており、収益構造改善が鮮明となっています。

「ブレンディ」好調、コーヒー事業にも成長の芽

コンシューマー分野では、味の素AGFの「ブレンディ」スティックブラックの成長も注目されています。
同商品は過去5年間で市場規模が約3倍に拡大。水にもすぐ溶ける利便性が支持され、アイスコーヒー需要の取り込みにも成功しています。
インテージSRI+によると、スティックブラック市場は2025年4〜12月で前年同期比約1.5倍に拡大しており、その中でも「ブレンディ」は市場平均を上回る成長を記録しました。
物価高が続くなか、自宅で手軽に本格コーヒーを楽しみたいという消費者ニーズを捉えた形です。4月末には新TVCMも公開されており、夏場の需要取り込みにも期待が集まります。

投資家の視線は「減益」より成長持続性へ

今回の決算は、表面的には「最終減益見通し」がネガティブ材料として受け止められやすい内容でした。しかし、その背景は一過性要因の剥落であり、本業ベースでは過去最高益更新が続く見通しです。
特に、AI向け半導体材料という成長市場への強みを持つ点は、国内食品メーカーの中でも異色の存在感を放っています。さらに、食品・調味料・コーヒーといった安定事業が下支えする収益構造も、同社の強みといえそうです。
増配継続に加え、積極的な成長投資も打ち出した味の素。市場では今後、「食品メーカー」という枠を超えた成長企業としての評価が一段と進むかが焦点となりそうです。

なお、本記事は、投資判断の参考情報として提供するものであり、特定の株式売買を推奨するものではありません。投資の最終ご判断はあくまで自己責任でお願いいたします。

STOCK EXPRESSの車掌、SHUN

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【Dear Overseas Investors: Summary in English】

Ajinomoto Forecasts Lower Net Profit, but AI-Related Materials Business Drives Growth

Ajinomoto Co. (TYO: 2802) said on May 7 that it expects consolidated net profit for fiscal 2027 to decline 10.9% year-on-year to ¥120 billion, mainly due to the absence of a one-time gain from the sale of its headquarters building recorded in the previous year.

Despite the profit decline, the company forecast record-high revenue and operating profit, supported by strong demand for semiconductor materials and overseas food businesses. Revenue is expected to rise 8.8% to ¥1.72 trillion, while business profit is projected to increase 8.7% to ¥197 billion.

The company’s semiconductor packaging material, Ajinomoto Build-up Film (ABF), continues to benefit from growing AI server demand. Ajinomoto Fine-Techno, a group subsidiary, also announced plans to acquire land in Gifu Prefecture for a new ABF production plant, targeting operations in 2032 to strengthen long-term supply capacity.

Ajinomoto said it plans to increase its annual dividend by ¥2 to ¥50 per share.

Management also warned that rising geopolitical risks and higher energy prices could negatively impact earnings. The company estimated that prolonged high oil prices and yen weakness could reduce business profit by around ¥30 billion, but said it would respond through cost reductions, diversified procurement, and potential price increases.

Meanwhile, Ajinomoto’s consumer business remains solid. Overseas seasonings sales continue to expand, while AGF’s “Blendy” stick black coffee products have seen rapid growth amid rising demand for convenient iced coffee products.

Investors are increasingly focusing on Ajinomoto’s transformation from a traditional food company into a growth company with exposure to the global AI semiconductor supply chain.

Disclaimer: This article is provided for informational purposes only and should not be construed as a recommendation to buy or sell any specific securities. Please make investment decisions at your own discretion.

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渋谷桜丘 在住。立教大学法学部卒業。株主として様々な企業を応援し、経済活性化に努めております。報道カメラマンとして写真撮影もしており、数々の著名人を撮影。2000年代にはライブドアニュースにて経済記事執筆。(保有資格:知的財産管理技能士、化粧品検定1級、食生活アドバイザー、景表法検定など)

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